幕間その1
少年と少女がその部屋に残っていた。そう、旧校舎の空き教室。いや、今は真・生徒会室、と言った方がいいだろうか。それが証拠に、扉には、【真・生徒会室】と書かれた画用紙が貼り付けてある。
眼鏡の底を光らせて、少年は言った。
「あいつら、まさかこういうことを企画するとはね……なぜ止めなかったんですか? れおな」
「だって友達だからよ」
少年のことを想うと、れおなの胸が痛んだ。
――そう、分かってる。この人は。
「まあ所詮お遊びのようなものでしょう。このままの方が僕にとって都合がいいかもしれません」
「もし、鈴たちが貴方たちに喧嘩を売ってきたら?」
「そのときはそのときですよ、手はないこともありません」
「相変わらずね」
そう言ってれおなはため息をついた。
どの人も様々な思惑を持っていて、それが複雑に絡み合っていくのをれおなは感じていた。そして自分はどうする。自問自答して、また嘆息した。
――縁屋くんがうらやましいわ。鈴も。
思ったことをすぐ行動に出せる彼らが妬ましかった。
少年が去ったその真・生徒会室の外は相変わらずの曇り空。
「相変わらず嫌な天気だわ」
れおなはそう、ひとりごちた。
これは幕間なので、続きもすぐ掲載します。