表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

重複

作者: 高槻全壱
掲載日:2026/08/22

『人間死ぬときゃあ所詮一人なんだよ』

ショウタさんの口癖だった。


実際ショウタさんは、高速道路で単独事故を起こして“一人”で死んでしまった。強引に幅寄せをされたショウタさんのバイクは、フラついて側壁に衝突し、身を投げ出したショウタさんはそのまま五十メートルはある谷底に落ちて行った。


事故の凄まじさは、葬儀のとき顔を拝むことさえできなかったことから伺い知れる。

このやり切れない虚しさは、いったい何なんだ……。


『俺には人を愛する資格なんて無い、だから死ぬときは一人なのさ』

ショウタさんの口癖だった。


実際ショウタさんは生まれてから二十年間、一度も女の子と付き合ったことがなかったらしい。そしてその事を悲観してか、ボロアパートの六畳一間で首を吊って死んでしまった。もがき苦しんだ挙げ句、糞尿を垂れ流し、ひどく惨めな格好で発見されたらしい。


いったい何なんだろう、この虚しさは……このやるせなさは……。


『この世の中は、一人が勝つようにできてんだ。だから必然的に俺が勝つんだよ』

ショウタさんの口癖だった。ワイルドでタフなショウタさんらしい言葉だった。


実際ショウタさんは、自分で会社を興してから数年で年商数十億というとてつもない大企業の社長だった。

ショウタさんには“順風満帆”と言う言葉が相応しい、正に勝者だった。


だけど、ショウタさんはもう死んでしまった。弱冠二十歳だというのに。

勝者の余韻に浸りすぎたせいか、セキュリティの甘い家でくつろいでいた時、三人組の男に押し入られて家中の金目の物を全て盗まれた挙げ句、拷問を受けたらしく皮膚の半分は灼かれ、爪は全て剥ぎ取られ、右目は抉られ、性器は切り取られていたらしい。生きている時だから、言葉にならない苦痛を受けたことだろう。


いったい何なんだろう。この虚しさ、この感情は何なんだろう。


…………。


いや、なにか根本的に論点がずれてる気がする……。

ショウタさんが死ぬところを、覚えているのは何故だ……。


鮮明に思い出せる死の瞬間。そう、まるでボクがそこにいたかのように……。

そもそも、ショウタさんて誰だったかな。


ショウタさんショウ、 タさんんショウタさん ショ、ウタさんシ、ョ ウタさんショウタさん シ、ョウタさんショウ タさん。


ああ、そうだ。昔ボクをイジメてた人だ。その人に殴られて蹴られて、ボクは死んだんだった。


だからか……。

2010/5

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ