表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お姫様とマッチョ

作者: 船田かう
掲載日:2026/04/20


 昔々、ある国に、王様とお姫様が住んでいました。


 王様は立派に国を治めていて、その娘のお姫様はそれは美しく賢くて、みんなに慕われていました。


 ある時、王様は、国で一番強い若者をお姫様と結婚させようと考えて、国中にお触れを出しました。


 自分こそがお姫様の夫にふさわしいと、国中から力自慢の若者たちが集まって、力比べの大会が開かれました。


 厳しい勝負を最後まで勝ち残ったのは、筋肉モリモリのマッチョな青年でした。

 逞しい若者に、王様は大喜び。


 国で一番強い若者がそのマッチョに決まると、お姫様はマッチョにこう言いました。


 「あなたは国の若者の中で一番強いですが、それは若者だけの話。森のどう猛な獣にはきっと敵わないでしょう」


 それを聞いたマッチョは、勇ましく森へ分け入ると、森で一番大きな熊をひと殴りで仕留めて帰ってきました。

 王様は大喜び。


 すると、お姫様はこう言いました。


 「あなたは森の獣より強いですが、それは相手が獣だからです。知恵を持った人間の軍隊が相手では、きっと敵わないでしょう」


 それを聞いたマッチョは、国の将軍が指揮する百人隊と戦いました。将軍が泣いて降参するまで戦いました。

 王様は大喜び。


 すると、お姫様は今度はこう言いました。


 「あなたはとても強いですが、わたくしと結婚するのなら、この国を支えるくらい強くなければいけません。それを証明してください」


 そう言われたマッチョは、王様たちが住む宮殿の壁に手をかけると、エイヤッと気合を入れて、宮殿を丸ごと持ち上げて見せました。

 王様は大喜び。


 お姫様はしばらく目を見開いて何も言えずに黙っていましたが、やがてこう言いました。


 「あなたはとても強いのですね。あなたの力は、この国を支えるだけではもったいないです。きっとこの世界も丸ごと支えることができるはずです」


 ようやくお姫様に認めてもらえたマッチョは嬉しくて、得意な気持ちになりました。

 いい気分で地面に手をつくと、えーいやっ、と、さっきよりもっと気合を入れて、なんと地球を持ち上げてしまいました。


 地球が動いた衝撃で、世界中で地震と竜巻が起こり、火山という火山が噴き上がり、海は荒れ狂い海流が乱れ、人々は大混乱に陥りました。

 もちろん王様は大喜び。

 そしてお姫様は混乱に乗じて逃げました。


 地上では大混乱が発生しましたが、宇宙の理から見れば地球の位置など些細なこと。

 天変地異もやがて落ち着き、世界に平和が戻りました。


 それ以来、私たちは、ひとつ分ズレた地球の上で暮らしているのです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ