序章 0話
「え、いや、、、。知ってるけど。苗字はだけどね」
少女?「なんでですか?」
「だって、あの最強夫婦のこどもなんだから知ってて当然でしょ」
少女?「確かに……。あ!でも!私の下の名前は知らないですよね⁉」
まあ、最初からその気で聞いたんだろうけどな。
「……。知らないけどなにか?知らないけどそれが何かデメリットを被るんですか⁉」
少女?「うわ。開き直ってるよ。で、私の名前知りたいですか?」
最初の言葉はぽろっと漏れちゃったんだろうな。だって敬語ついてないんだもん。悲しいなぁ。
「はい……。知りたいです」
別に知りたくはないんだけど空気を読んで知りたいと言って置こう!
少女?「もう!最初から言ってくれればよかったですのに!私の名前は美散です!」
なんか敬語おかしくね?
「漢字はなに?」
少女?「美しく、散るって書いてみさです」
「それってどういう意味?」
美散「ええっと。確か、最後まで強く、つまり美しく散るっていう意味だったような気がします」
「つまり強いことが美しいっていう事?」
美散「多分そうだと思います……」
「だとしたらその親ヤバいな……」
美散「なんでですか?」
こいつも駄目だった……。
「まあ、いいや。俺の持論だし」
美散「俺?一人称変わりました?」
おっと口が滑った~~!!もしこれで俺の精神が男だという事がばれてしまったら俺に対する態度が
90度くらい変わっちゃうかもしれない!そうなったらこいつを仕立てるのが大変になっちゃうから避けたいところだな~。
「いや、聞き間違えじゃないか?」
おっと、ここで第二のピンチ~!虚言癖が出てしまった~~~!!
美散「そうですかね?」
耐えた!!危ない!この関係性を壊すわけにはいかんからな。
美散「あの、預けておきたいものがあるんですけど……」
「なんだ?」
そういって、無言で渡してきたのはペンと紙だった。
美散「これは、もしもの時の救済処置です。この紙に、このペンで書けばその願い事がすべて叶います。でも、もうこれ、インク切れそうなんですよね!」
「へえ。凄いなそれ!って、インク切れしてんなら使えないじゃん」
美散「………………」
なんか言ってるけど、声ちっちゃくて聞こえない!ま、こういう時は無視が一番だな!そして、その神とペンを左ポケットに、右手で入れた。左手で入れればもっと楽だったのに。
取り敢えず王様に挨拶しに行こうか。
「ま、取り敢えず王様に挨拶しに行こう」
美散「何故ですか?」
「え?だってすべての神になるためには周りの了承が必要なんでしょ?だったら王様の下でお前が一番強いんだ見たいなこと言って、もしすべての神になりたいなら私を倒せ的な事を広めてもらえばよいじゃん」
美散「確かに。っていうか、それを挨拶って言ってたんですね……」
「まあね。じゃあ早速行こうか!」
と、目の前の王城の最上階を指して言う。そしてそれに対して何か言いたげな顔をしていたが、そんなことをお構いなしに空間を切り取るスキルで王城の窓枠に瞬間移動と言うか、空間移動?をする。
美散「怖い怖い!!!」
「おまえ、高所恐怖症なのか?」
美散「いいから!!いいから早く中に入ろう!!」
そういってこいつは窓を割って中に入ってしまった。おい、何をしてくれてるんだ!俺の台本では騎士が俺たちに気づいて、窓を開けて入れてくれる予定だったのに!
「何してるんだよ!復元魔法なんて使えないぞ?」
美散「大丈夫です。私、使えます」
そういいながら、飛び散ったガラスの破片を睨むと、ガラスの破片は、まるでこいつに怯えたかのように、元々の窓に戻っていく。こいつ、多才だな。
「おまえ凄いんだな……じゃあ早速王室に行こうか!」
⁇「おい!侵入者だ!4階、王室前に侵入者だ!捕らえろー!!」
「おっと、ここが王室のようだな!」
こいつらも馬鹿だな!敵に場所の情報与えちゃうなんて。ま、一応王室に逃げ込むか。
美散「どうしましょうどうしましょう!!」
こいつはもう使い物にならなさそうだな。まあ、それも仕方がないな。俺が手を引いて、引きずっていくしかない!
「こっち来い!」
おい、こいつ軽くないか?
⁇「おい、あいつら王室に入る気だ!早く来い!」
ま、もう遅いんだけどな!そんなことを思いながら、大きめの両開きの扉の左だけを少し開け、すぐに閉じる。そして俺は扉に施錠魔法をかける。これは、使用用途が果たせなくなる魔法を改良した魔法だ。ま、そんなことはどうでもよくて、完全にビビり切っている王様に話しかける。
「おい、交渉をしに来た。」
王「なななな、なんじゃ?」
一応、体が震えて仕方がないようだが、王としてのプライドはこんな時でもなくなっていないようだ。っていうか、なんで王室に側近とか、護衛とかいないんだよ
「こいつ、お前の養子にしてやれ。そして、こいつを次期の王にしろ」
王「っそそそそそ、、そんなこと……」
そんなことを言って否定しようとする王に対して、改めて脅迫をする。
「お前、命がどうなってもよいのか?」
王「わわわ、分かった。了承するから、命だけは!命だけは!」
「分かった。交渉成立だ。お前の命を助ける代わりにそれ以外には何をしてもよいっていう交渉だがな」
王「それでいいから命だけは!!」
「分かった分かった、もう騎士たちももう来るみたいだし、これでお暇させていただきますわ~!」
そう、高らかに宣言した俺は、どんどんと叩かれている、王室の中へ続く扉の施錠魔法をリセットした。
騎士「うわああああ~~!!」
俺が施錠魔法を解除することは無いと考えたと思ったのだろう、物凄い勢いでなだれ込んできた。大量の、鎧を装着した人間が。
「おい、もう落ち着いたか?」
美散「うん……ってええ!何この人たち!」
「ま、もういいよ早くいこう!」
美散「どこ行くんですか⁉っていうかだれですか?この人たち!」
「じゃあ、行きたい場所があるんだ。この世界じゃないんだけど良い?」
美散「は?何言ってるんですか?頭大丈夫ですか?」
「だから!この世界じゃなくて私の元々の世界行ってみたい⁉」
美散「行ってみたいです!」
「じゃあ行こうか!」
そういって、次の王に相応しい存在、この少女の複製を置いて行く。そして、俺はこの前考えた……。
美散「あ、分かりました!貴方の前世の座標に飛べばいいんですよ!」
「ん?何を言って……。」
美散「じゃあレッツゴー!!」
おいおい、まじかよ。こういうのは俺の役目だろうが……。そう言って俺の視界は暗転した。しかし、聴覚はまだ生きている。だから周りの音を良く聞き取る。だが、特筆すべき点、というか音自体がない。というか、今どうなってるんだろう?あ、なんか触覚が復活した~!!おお!視覚も復活!
「おお!戻ってこられた!」
⁇「良かった!本当に良かった!」
そう、歳を取っている男女二人に涙ぐみながら言われてしまった。どういう事だ?っていうか、何で俺ベッドで横になってるんだ?あれ?なんか体中に管が通っているな。しかも点滴?で、この人は誰だ?なんか見覚えが……。おいおい、この人、……。転生なんてしてなかったのか?
転生なんてしてなかったのか?すべて幻覚?確かにおかしい場所はあった。だけど、幻覚?どういうことだ?俺は確かに。俺は確かに。異世界に居たのに。それを証明できるものは……。俺は、王城に突入する前に貰った願い事が叶う紙とペンを右ポケットから取り出す。そしてそこに、
全てを最初からやり直す
と書いた、かすかすだけど、まあ良いや、こんなものおもちゃだよ。本物じゃない。もう眠いし、寝ることにした。速く現実に戻れると良いな。
「おやすみなさい」




