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幸せ猫  作者: 神輿 結
3/5

三話 泉の下と普通猫


 眩しい光が二匹を包み、泉のふわふわはなくなった。泉が無くなり、二匹はぽんと宙に躍り出る。


 でも幸せでできた二匹の体、ふんわり浮いて落ちないまま。


 泉の下の明るさに、二匹は前足で目を覆う。


 眩しいね。目が開かないよ。何があるんだろう。ドキドキするな。


 だんだん明るさに目が慣れてくる。


 そっと目を開ける二匹は、今はワクワクドキドキ緊張猫。


 目を開けた二匹、下を見て見を丸くした。


 そこにはたくさんの人。賑わう通りに明るい声。飛び交うたくさんの笑顔。


 驚いていた二匹、思わず笑って顔を見合わせた。


 見て見て、人がたくさんいるよ。みんな楽しそうだね。見てると嬉しくなってくる。よし、幸せのお裾分けだ。


 そう言って、二匹は空中で足を揃えた。

 片方は左足。片方は右足。空を移動しながら、二匹は幸せを振り撒いた。

 上から見えない光が降り注ぎ、通りの人たちはみんな幸せ笑顔。二匹もつられて笑顔になった。


 楽しそうだね。幸せそうだね。僕たちも嬉しいや。

 二人は嬉しくて笑い合う。


 笑い合う二匹は、今日も嬉しい幸せ猫。




 しばらくすると、だんだん体が重くなってきた。二匹は顔を見合わせる。


 重くなるよ。どうしてだろう。


 幸せでできた二匹の体。お裾分けのしすぎで幸せがなくなっちゃった。


 幸せのなくなった二匹の体、どんどんどんどん重くなる。

 

 とうとう地面に降りた二匹、不安になってみゃおみゃお鳴いた。


 どうしよう、どうしよう。飛べないよ。お空の上に帰れないよ。

 

 幸せのなくなった二匹は、今はすっかり普通猫。


 あなたたち、どうしたの?


 そんな二匹に澄んだ声。


 振り向くと、三つ編みを肩に流した、大人になりかけの女の子。粗末なワンピースの女の子。

 でもその子から、不幸せは感じない。


 僕たち幸せがなくなっちゃったんだ。飛べなくなって、お空に帰れなくなっちゃった。


 二匹が言うと、それは大変、と女の子は目を丸くした。


 じゃあうちにおいで。私があなたたちに幸せを分けてあげる。


 にっこり笑った女の子、二匹を優しく抱き抱える。

 驚く二匹は、今はびっくり普通猫。


 


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