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スピカ  作者: 遠藤 敦子
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 橘部長からのチクチクとした嫌味やクレーム電話もあれど、最初の頃よりはうまく交わせるようになったかと思う。電話対応していて思ったのが、桐生さんや坂巻さんの担当物件の入居者にクレーマーが多い気がした。

 坂巻さんの担当物件については、女性の方が大絶叫しながら入電してきたことがある。

「洗面所の配管が詰まって事務所に水漏れしてる! 業者はいつ来るの? 前にも同じことがあって担当の人に来てもらったけど、担当の人は来ないの? 水漏れのせいで昼休憩に行けなくなった!」

佐々部チーフはこの日は東京出張で不在だったので、坂巻さん本人に変わろうとするも電話対応中。

 担当が電話対応中だと伝えると、女性は納得せずガチャ切り。電話番号はディスプレイから控えられたものの、事務所名は大絶叫されていたので聞き取れなかった。

 そのタイミングで坂巻さんの電話が終わったので、先ほどの件を口頭で伝える。

「……わかりました、室内修繕の担当と連携して対応する。前も俺が対応して、かなりキレられたんだよねこの人に」

とのこと。前も同じ人にキレられたと坂巻さんは言っており、大変だったんだなと同情した。

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