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桐生さんにクレーム電話が来たときの気持ちの切り替え方について聞いてみる。メンタルが弱いとカミングアウトされたこともあり、どう気持ちを切り替えているか気になったからだ。
「そりゃ最初はいろいろ考えましたけど、いちいち相手の言うことを真に受けてたらやってられないですからね〜。こっちも知識つけていったら、相手の問い合わせに『アホだな〜』『無知だな〜』って思えるようになりますよ」
と桐生さんは言っていた。そのそばから電話が鳴り、桐生さんが対応する。電話口は年配の男性で、お酒に酔っているのかかなり興奮状態でまくし立てていた。
男性の大声が横にいる私にも聞こえてくる。男性が何を問い合わせているかわからないが、桐生さんは声を震わせながら「申し訳ございません」を繰り返していた。
10分近くの長電話でようやく終わったようだ。「大丈夫ですか?」と聞くと、桐生さんは「アホっすわ」と笑っていた。