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さっそく電話が鳴り、桐生さんが電話をとる。
「お電話ありがとうございます。ハーモニーハウジング、桐生が承ります」
桐生さんは電話しながらシステム内にお客様情報や問い合わせ内容を打ち込んでいく。私はメモを取るだけで精一杯になりそうな気がするので、メモを取らずにパソコンに打ち込むような器用なことはできないかもしれない。
基本的な応対のしかたや対応方法ーー共用部の不備についての問い合わせは「担当者か業者から連絡します」、騒音や室内不備等は「該当部署に確認して折り返しします」ーーは教えてもらったので大丈夫だが、実際に電話に出るとなると不安な気持ちもある。桐生さんはそんな私の気持ちを汲み取ったのか、
「僕はあんな感じでパソコンに打ち込んでますけど、最初はメモ取りながらお客さんの話を聞いて後でパソコンに打ち込んでもらっても大丈夫です」
と言ってくれた。