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気づいたら翌朝になっていて、知らないアパートの一室にいた。ここはダニエルのマンションのようで、私の写真が大量に壁に飾られている。手足はベッドの端に縛られていて口は粘着テープで塞がれているので、助けを求めたくても声を出せない。
「ずっとずっとお前と一緒になりたいって思ってたのに、連絡も無視してたよな。お前の母さんも。興信所にお前の居場所を調べてもらったら、あっさりわかっちゃった」
ダニエルの目は怖かった。何か言うと、今にも襲いかかってきそうな感じだ。私の居場所がわかったのは、興信所に調べてもらったからだそう。
「あの浮気相手はどうしたの……?」と私が聞くと、ダニエルは悪びれずに「あ、藍子? あいつ顔と身体は良かったけど、付き合ってみたらだるかったから捨ててやった。で、やっぱりお前がいいってなって、探しまくった」と言う。こんなに支離滅裂な思考回路の持ち主だったと見抜けなかった私がバカだった。