第四話【ミライア】
(女性……兵士?)
声がした方向。そこには白銀の全身鎧を身に着けた女性が牢屋の前で仁王立ちで立っていた。
「み、ミライア様がなぜ地下牢に?!」
俺や面屋に対しては一貫して高圧的な態度だったムンムンが、突如現れたその女性に対して素早く礼の形をとる。彼女自身それなりの階級だと面屋が言っていたので、ミライアと呼ばれた女性は更に地位が高いって事なのだろう。
身に着けている鎧も下級兵士とは異なり質が良くデザインも凝っていた。鎧の大部分にはビッシリと鱗模様が施されていて白く美しい魚を連想させる。背中のマントは力強い深紅で、そこには鳥の羽根を模したような刺繍がって魚か鳥かどっちなんじゃ〜い!
(身なりからしてようやく主要キャラのお出ましだろうか?いやでも金ピカ新品鎧クソ野郎の例もあるから一概には言えない気がするなぁ)
恐縮してばかりのムンムン。面屋も同様、いつもとは打って変わってソワソワと……って、違う。俺には分かる。奴のあれは新しいお面のアイデアを練っている顔だ!!こ〜の〜お面オタクめっ!「これだからオタクってやつは!」
……因みに、この言葉は日常系アニメ【オタクは死んでもなおらない】という作品で、非オタクのヒロインがよく叫ぶ言葉である。非常にありきたりな言葉に思えるが、これはこの作品のヒロインが顔を真っ赤(怒)にして台詞を叫ぶ事に大きな意味があるのだ。オタクである主人公や他の登場人物達(全員オタク)にとってそれは褒め言葉であり、台詞を言われる度に照れて誇らしげになる為ヒロインは更に頭を抱えるといった感じのベタな内容!そう言えば続編の【オタクは死んだらひどくなる】が来年アニメ化するんだったな。あぁ!見たかっ、
「おいっ!聞いているのか、救世主殿!」
「へ?!」
「探しても見つからない訳だ!貴賓室から何故消えた!?どうしてこんな場所に居るっ!!」
気がつくとミライアと呼ばれた人が俺の目の前にいた。好きなアニメの事を考えていたらいつの間にか展開が進んでいたようである。
俺はこれまでの経緯を彼女に洗いざらい説明する事にした。
「何故と言われても……召喚部屋を出た後に連れて来られた場所が地下牢だっただけです。一応案内してくれた方への名誉の為に補足ですが、俺をここへ連れて来るのは彼の本意では無い感じでした。金ピカ新品よ……馬鹿みたいに光り輝く鎧の人から指示を受けて仕方なく……みたいな感じでしたからね」
うん。あれは間違いなく金ピカ新品鎧クソ野郎の指示だ。だから俺をここに連れてきた鎧兵に罪はない。上司の指示に抗えなかったって事だろう。
一連の流れをなんとなく察したのか、ミライアは額に手を当てて深く溜息をついた。
「そうだったのか……。それは指示した者の責任であり、対応は不適切だった。召喚場所に居た者全員を代表して謝罪をする。申し訳ない」
「はぁ……」
……って、ん?あの場に居た?なんか聞き覚えのある声だと思った居たけれど、もしかしてこの人はあの召喚場所で俺に【不死のお面】を着けさせた人だったりする!?
どうしてか分からないが着用時の俺はこれっぽっちも頭が働いておらず、未だ前後の記憶が曖昧になっているのだが……。
(絶対に彼女だ。この印象的な声は間違えようがない)
力強く、澄んだ声。百人が聞けば百人全員が魅力的な声だと答えるだろう。他人に興味がない俺ですら彼女の声は何故か頭に残っていたからね。そうだ!期待の新星声優、安藤星加に似ている気がする!まぁ俺の中ではベテラン女性声優の、さかえ都さんが一番好きな声なんだけど……、
「ゴホンッ、それで…………どうだ?」
「えっ?何がですか?」
「何がって……鈍いのだな。思考は正常に戻ったのかと聞いている」
………………ん?正、常?
「ちょっと意味が分からないんですけれども……正常って………………何が、ですか?」
「……お前は頭が悪いのか?何度も言わせるな。私はお前にこの国を救う覚悟がしっかり決まったのかと聞いているのだ!」
「へぇっ?!」
え?【救世主様】呼びから一転、急に【お前】呼びされたんだけど?頭が……悪い?いや、悪いけどさ!国を救う覚悟がしっかり決まったかだって?理解が全く追いつかないよ!
でもこれだけは言える。
「ええーっと……覚悟も何も、俺は最初からこの世界を救う気はありませんけど」
「どうしてだ!!」
ミライアが再び声を荒げ俺を威嚇してくる。
(あ、駄目だ。この人は恐らく【疲れる人】だ)
話をしても通じない、意思の疎通が出来ない人。出来ることなら全力で関わりたくない……けども……。
(自己防衛の為にも、ある程度の対話は必要不可欠だよなぁ)
【愛しているヒト・モノ・コト】にしか興味の無い俺だが、薄皮一枚の社会性くらいは持ち合わせている。何だかんだそれなりの年数サラリーマンをやってきたからね。だからこういう場合は逃げたら駄目だ。状況は絶対に悪化するもの。
……疲れる事を承知した上で俺は言葉を選んで一生懸命説明をした。
「救わない理由は、俺が、この国も、この国の人達も、好きじゃないから、です。以上!」
本心だった。本心過ぎた。だって嘘をついて何になる。格好つけてこの世界を救う為に頑張ります?そんな言葉は死んでもわないっつーの!言ったら死ねるってんならいくらでも言うけどさ!
俺のどストレートな拒否発言を聞き、ミライアは再び烈火の如く怒りだす!
「す、好きじゃないからだと?!人命救助に好きも嫌いもあるか!!」
「いや……あるでしょう?だって極悪非道な国家や国民だったら助けるの躊躇したりしません?」
「そんな外道の国と我が国を一緒にするな!無礼者めが!ここは素晴らしい国だ。弱小国の呪われた運命に抗おうと、国民は必死に生きている。禁呪に等しい召喚術に縋る所まで追い詰められていると言うのに……その努力と苦労をお前は踏みにじる気かっ!!」
…………やっぱりこの人、言ってる事が無茶苦茶だ。
流石に黙っていられなくなった俺は、反抗声明……そして【異世界での救世主】という立場への疑問を彼女へと投げかけた。
「つまり俺があなた方の状況に同情して自分の命を差し出せと言うことですか?」
俺の発言に対してミライアはたじろぐ素振りを見せる。
「そ、そのような事は言ってはいないであろう!お前を召喚するにあたってこちらも傷を負っているのだ。だからお前も選ばれた者としての義務を果たすべきであり……、別に」
ぷっつん。
俺は自分の中で何かが切れる音を聞いた。
「うわぁあああああああああああああああああ!!うわあああああああっ!不毛っ!不毛っ!不毛〜〜ううう!イ、ラ、イ、ラ、してきた!も、敬語は使わなぁあああーーいぃいいいいっ!!」
「なっ、なんだお前急に!」
「急にじゃないよ!ずっと我慢していたのっ!もうね、我慢出来ないレベルの失礼な奴にはキッチリ失礼返ししかないよ!!いいか?よく聞け!俺はこの世界に来たいだなんてイッッチミリも望んでいなかったの!!仮に俺が救世主だとしてもお前等を助けるかどうかは全部俺の自由なのっ!!俺は異世界に喚ばれちゃったからさ、生きる意味も糧も失ったんだよ?人から生きる意味を奪っておきながら助けて下さい!?ふざけんな!!お前達が召喚したのは、求めていたのは、救世主なんかじゃない!自分達の為に都合よく働いてくれる……奴隷だろうがっ!!!!!!」
……召喚されてからずっと心に抱えていた鬱憤を俺は一気に吐き出した。
いま地下牢に響くのは俺の息切れ音だけ。ミライアもムンムンも面屋の男も皆黙っていた。
興奮しすぎて脳味噌が熱い。でもここで俺は終わらない。息を整えて更に抗議を続けた。
「……そっちに事情や考えがあるのと同じで俺にだってある。俺は、アニメに人生を、命を救って貰った。その時から俺は【俺が好きで愛したモノの為だけに行動する】って決めたんだ、無理や我慢は止めたんだ!だから好きでもない、どうでも良いお前等の為になんて絶対に働かない。俺は地下牢で死ぬ。お前等が今後何を言ってもどんな事をしてきても、俺の心は傷付かないし罪悪感を感じる事は絶対に無いからな!」
俺は被っているお面越しにミライアを睨みつけた。
生きる理由がない世界に喚ばれた俺が選択したのは【死】だ。お面のせいでいつ死ねるかは分からないけど……命が消えるその時まで、俺は自分を守る為に過ごしていく。あの時決めた思いのままに。
「俺の身体や意思は俺だけのものだ。誰にも指図は受けないし……操り人形には二度とならない!」
パチパチパチパチ。
「ダンナぁ〜格好いいなァア〜!」
下手くそな拍手と一緒に気の抜けた面屋の声がこの場の緊張を切り裂いた。
あまりに場違いな展開。驚き何も言えなくなった俺達を無視して面屋は更に発言を続ける。
「いやぁ本当に凄い。あっしはただの面屋で食い逃げ常習犯のクズですがねぇ?ここに居る誰よりも少しばかり生きていて、少しばかり世間を知っております。だからダンナは凄いなァと心底思うんですよ?そうでしょう?ミライア様も勿論そう思いますよねェ?」
「………………………誰だお前は。何が言いたい」
ミライアの言葉に面屋が笑った。
「ここまで上手く死なずに保った人は初めてじゃないかって事ですよォ」
「なっ……!!」
「アンタならこの言葉の意味、分かりますよねェ?ずぅーっとやってきたんだから」
「お前は何故知って……っ」
「おや?あっしの言ってる事が理解が出来きませんかぃ??《お前は頭が悪いのか?》でしたっけ?そうですか、我が国誇る、【明星線の騎士団】副団長ミライア様は頭が悪ぅ御座いますかァ」
「黙れ面屋ァアアアアアアアアアァア!!!!」
ムンムンが大声で叫びながら包丁を振り回して面屋に突進して行った!
面屋は人形の様にいとも簡単に押し倒される。喉元に突きつけられた刃物が躊躇なく食い込んだその時、
「止めろムンムン!!」
ミライアが叫んだ。
「でも!でも、ミライア様っ!!!!」
「……………………今日の所は引く。行くぞ」
苦々しく吐き出しされた言葉。宣言通りに直ぐに身を翻しミライアは牢屋から出ていった。ムンムンも急ぎミライアの後を追って出ていく。
静寂。
居るのは見張り番と囚人達だけ。
地下牢がいつもの調子を取り戻した瞬間だった。
「…………………………………………疲れた」
ムンムンの時と同じで時間にしてみたらたった数十分の出来事だったろう。
それでもっ……本当にっ、本当に心底疲れ果ててしまった俺はその場にべシャリと座り込んた。面屋が俺の隣に寄ってきて労るように軽く背中を擦ってくれる。
「色々驚きましたよダンナぁ〜。その面を被っていたから分からりゃしなかったけど、まさか旦那が救世主様だったなんてねぇ」
「……救世主なんてあいつらが勝手に呼んでいるだけだよ。それよりもさっきはありがとう。よく分からなかったけど助けてくれたんだろ?」
「イエイエ。あっしもあの女はとんと好かねぇもんでね。言ってスカッとさせて貰いやしたよ」
「知り合いなのか?」
「いんや、見かけた事があるだけですわ。前にも何回か地下牢に来てたからねェ…………旦那と同じ様な【召喚者】と一緒にね」
「えっ…………!」
驚いた。
つまりそれは俺がこの国で初めての召喚者じゃないって事だもの。
面屋が言うにはこの国は以前から召喚を定期的に行っていて、既に何人も他の世界から異世界に連れてきているらしい。
俺は無意識の内に召喚された人間は【俺が初めて】で【唯一無二】の存在と考えていた。
(でもこの国の立場で考えたら……)
自分達の国を守る為にずっと救世主召喚を続けていたとしたら……。有り得ない話じゃない。寧ろその方が理にかなっている。何度も何度も召喚を繰り返し、物分りのいい救世主が出るのをひたすら待つ。俺はその何番目かの召喚されし者ってわけだ。
前にも俺と同じ様な人が来ていたなら、その人達は今どうなっている?
俺の疑問に答えるかの様に面屋は話を続けた。
「あっしはその時も食い逃げやって地下牢に居たんですけどもねぇ。まぁ他所モンは直ぐに分かりやす。……特にこの国ではね。喚ばれちまった人達の殆どは旦那と違ってもっと激しく抵抗して取り乱していました。家に返してくれ、家族の元に戻してくれとずっと叫び続けていましたよ。そんで気が狂って呆気なく死んじまいました。その時もあのミライアって女が説得という名の恐喝に来ていたんですわ。あの態度は人にものを頼む態度じゃねぇですからねぇ」
「…………死んだ、のか。じゃあもうこの世界で召喚された人間は俺だけなのか?」
「それはあっし如きには分かりません。生きてたり、死んでたり。巻き込まれたり、帰ったり。色んな噂はありますよ。きっとそれを知るのは神のみぞってやつです。果たして今回も本当に旦那だけ……………………………、っとサービスはここまで」
「え?」
面屋の男はいきなり話を中断すると、すっくと立ち上がり鼻歌交じりにフラフラ牢屋内を歩き始めた。
何だこれは。き、既視感のある運びになってきたぞ?
「ちょ、ちょっと待て面屋。その話っ、今ここで中断するのかよ!」
「いやぁ、ダンナには仕事の創作意欲を沢山貰いましたからね。【ヤタイ】とやらで売られている【キャラメン】でしたっけか?物語の登場人物を面にする話なんか面白かったなぁ。売ってみようかなぁ」
「おま、ミライアやムンムンの真似をするんじゃないっ。人の話を聞け!」
面屋は俺を無視して牢屋の見張り番の元へ行き、ごちゃごちゃと何かを話し始めた。面屋の言葉を受けて見張り番の兵士は頷くと、牢屋の扉を開ける。面屋が牢屋内から出て行った。閉められる扉。牢屋内は今俺一人だ。
「おい!面屋、ちょ、待っ、なんで?!」
「お忘れですか〜?あっしの拘留期間はもうとっくに終わっていましたから、いつ出ても良かったんですよぉ」
「覚えていたけれども!よりによって今出ていくのかよ!」
鉄格子の向こう、お面を被っている筈の面屋が笑った様に見えた。
「ちょいとやりたい事を思い出したもんでね……。だからあっしは先に地下牢から出ますわ。またお会いしましょうね〜ダンナぁあ〜!ヒ〜ッヒッヒッヒッヒッー」
「な……な……何なんだよ……一体、お前は……」
こうして面屋の男はあっさりと出て行ってしまったのである。
地下牢仲間が去ったことにより牢屋内にも心にも若干の隙間風流れてくるも、脳内はそれどころじゃない。
面屋の言葉が頭の中でぐるぐる回っている。
【生きてたり】
【死んでたり】
【巻き込まれたり】
【帰ったり】
(もしかして、俺、帰れるかもしれない?)
確かに異世界系作品で元居た世界に帰れた作品はあった。同じ様に出来るのだろうか?
(いや…………そんなことは、無いな)
俺は俯いて掌を見た。何度かグーパーを繰り返してから手を加える下に下ろす。
ここはただの異世界じゃない現実だ。
現実で何度も期待して痛い目に合ってきたじゃないか。
「期待しても意味なんて無い」
高揚した心は自身の言葉により一瞬にして鎮火される。
(そうだ、俺はもう現実で夢は見ないと決めたんだった)
夢を見るのは二次元の……アニメの中だけで充分なのだから。
。
。
。
あれだけ大きなミライア騒動があった後も、地下牢の日々は基本的に変わらなかった。
牢屋の見張り番は俺が召喚者、いわゆるこの国での【救世主】と知ったせいか、俺への接し方が少しだけ変わった。といっても初めから金ピカ新品鎧野郎みたいに横柄な態度をとられた覚えは無い。……接する際少しだけ丁寧になった、ってくらいだ。
俺が召喚者と知ってもムンムンだけは相変わらずだった。この地下牢に訪れては激しく怒鳴り散らして俺を処刑しようと奮闘している。以前よりあたりが強くなっているのは面屋がミライアに楯突いたからだとかナントカカントカ。
ミライアを尊敬しているムンムンはどうやら面屋の振る舞いが許せなかったらしい。何もせず傍観していた俺も同罪だと言って騒いでいた。まぁ面屋と同じ気持ちだったから、何かしてもしなくても結果辛く当たられる未来だったんだよね。
ムンムンに早く俺を殺してくれと頼むのだが、やはりこのお面のせいで俺を殺すことは叶わないらしい。
つまり俺は相変わらずに死ねないでいる。
。
いつも通りにムンムンが騒ぐだけ騒いで地下牢から去った後、上階から誰かが降りてくる音が聞こえた。
俺の食事を運んで来た鎧兵だろうか?ガチャガチャと鎧が擦れる音が近づいて来る。
月日や時間の感覚も分からなくなっていた俺には今どの食事時なのかも分からない。まぁそれもこれもどうせ食べないからどうでも良い。俺はやる気なく床に寝っ転がった。
(さて……今日は電車擬人化子供向けアニメ【在来線シグナル乙女線記】の《第五話 激闘!千代田線と常磐線!!》の脳内上映を……)
ガンガンガンガン!!
ガンガンガンガンガン!!
「おぅおぅおぅ!居た居た居た!探しまくったぜ〜!って、すげぇ痩せたな!おい、お前!飯食ってねぇのかよ!」
(神回である第五話……。次の《第六話 代々木上原で逢いましょう》もだけど、この二話にかけては脚本も総作監さんもその他色々全部込み込みマジで秀逸だったわい。もう全俺に突き刺さった。スタジオ【えとわ〜る】はやっぱり凄いって震え上がったもんね)
ガンガンガンガンガン!!
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!
「何だよお前、無視すんなよ!召喚されて出てきた時の面白い感じはどうしたんだよどうしたー?おーい聞こえねぇのかー??おーい!」
う る さ い。
凄まじい騒音。何事かと思ったら牢屋前、鉄格子をガンガン叩き続ける鎧兵が一人居るではないか。
あっけらかんとした口調で喋りながら休むことなく鉄格子を叩いている。
彼が発する声も鉄格子を叩く音もうるさい。総じてこの男がとんでもなくうるさい。経験上、ここで反応を返してしまうと更にうるさくなる気がするぞ。うるさい奴はムンムン1人で間に合っている。……俺は無視を決め込むことにした。
「なぁ無視すんなって」
「……」
「ちょっとで良いからこっち見ろよ!」
「…………」
「渡したいものあるんだって!これ、お前のだろ?」
カチャリ
「!!」
聞き馴染みのある音に身体が素早く反応した。勢い良く起き上がり、騒がしい鎧兵の方をジッと見る。
彼の手から何かがぶら下がっていた。
そんな、まさか。
左右に揺れる薄い形状。鮮やかな色使いキラキラした……。
「…………どうしてそれを持っている!!!!」
彼が取り出したもの。
それは俺がちょっと前までよく目にしていたモノ……、
アクリルキーホルダーだった。
次回更新は3/18になる……はずです。頑張ります。
投稿時間帯が定まっておらず申し訳ありません。