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宙の時

作者: ツヨシ

カラオケに行った。

彼女と二人。

交互に歌う。

彼女がある曲を歌っていた時のことだ。

それは中堅歌手が歌った「宙の時」という歌だ。

子供を想う母親を歌った歌。

少しヒットした。

歌い始めた時、二十代手前の彼女には似合わない曲だと思ったものだが、途中からそんなことはどうでもよくなった。

それが突然現れた。

青白い子供。

小学一年生くらいだろうか。

顔だけではなく、服や腕、髪の色までが青白いのだ。

びっくりして固まったままその子供を見ていたが、彼女は自分のすぐそばにいる子供に気づくことなく、熱唱している。

見れば子供は彼女に寄り添うようにもたれかかり、両の腕で彼女を強くつかんでいた。

歌が終わった。

同時に子供がその姿を消した。

彼女が俺を見て言った。

「えっ、どうしたの?」

俺はなにも返すことができなかった。


しばらくして彼女と別れた。

そしてある日曜日、暇すぎた俺は例のカラオケボックスに行った。

一人で。

受付の女は最後に俺に小さく言った。

「歌わないとは思いますが「宙の時」と言う歌は、当店では歌わないでくださいね」と。


       終

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― 新着の感想 ―
[良い点] えっ⁉ 彼女と別れてしまったのですか?(・_・;? もしかして『宙の時』の一件ですか。子供の霊が原因で……❔ 彼氏、彼女と別れて一人でカラオケボックス行くのが侘しいです…… 子供のせい…
[良い点] ∀・)想像したらゾッとする光景を巧みに書かれていた感じ。 [気になる点] ∀・)そりゃあその歌が気になるぜ(笑) [一言] ∀・)その歌に問題があるんじゃなくて歌に引き寄せられて出てくるっ…
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