表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

Youは誰かが好きじゃないの?

http://reviews.bookstudio.com/author/10794/10728/6.htm

2008年07月23日(Wed) 18時53分に投稿



若菜はアメリカンスクールの高校生だった頃、同年くらいの女の子なら皆そうであるように、何かというと男子生徒の噂をして下らなく時間をすごしたものだったが、大抵聞き役にまわっていた。


「今年卒業組のジークっていけてるよねえ。うちはジークひとすじ。さらさらヘアが超さわやかなのにさあ、ああ見えて本当はマッチョなんだよお?この前こっそり見ちゃった。えへッ。バスケの練習のあと着替えてるとこ。もう、めっちゃ、腹筋なんかこんな。くっきり上下左右に溝が走っててさあ。服を着てると全然そんな感じじゃないじゃーん。うち、ああいう隠れマッチョって大好き!」


「ふーん?じゃ、エルマーは?」と若菜が言う。


「嫌い!ああいうマッチョマッチョしたのってきもい。いかにも鍛えてまあーすって。勝手に鍛えてれば?みたいな。なにげにマッチョだからかっこいんじゃーん。ま、ボディービルダータイプが好きだって子もいるけどね。うちは無理。ワンダなんかそうじゃない?あの子、筋肉むきむきの人、かっこいいって言ってたもん。絶対ワンダはエルマーのこと好きだよ」


「そうかもね」


「ユーは?ねえ若菜、ユーは誰が好き?」と聞くマギー。


「うちは別に?」


「好きな人いないの?」


「いないよ」


「どうして?じゃ、誰がかっこいいと思う?」


「どうかな。誰がかっこいいかって言われても。カーネルあたりかな」


「カーネルって?どの組だっけ」


「チキン組」


「ふざけないでよお!うちはまじで話をしてんのにい!」


「だって、うちは弱い人の方がいいかなあって」


「どうしてよ」


「手なずけやすいじゃん。お金を巻き上げるのに都合が良くない?」


「何それ」


「おどかせば何だって買ってくれるし」


「ねえ、うち本当に若菜のことが分からなあい」と誰も匙を投げてしまうのである。


事実を、若菜は隠していた。二十三年前に病死したハリウッドスターと付き合ってるんだあ、と言ったところで、友達は分かってくれそうになかった。


http://reviews.bookstudio.com/author2.php?id=10794

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ