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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
97/121

97,暴走

リエルは発狂した。

自分の”サイコキネシス”を暴走させながら。


リエルがいた建物は、超強固な素材で作られていたにも関わらず、一瞬で全壊。

そして兵士達はそれぞれだ。

はるか上空へ吹き飛ばされる者もいれば、荒縄状に捻り殺された者もいる。瓦礫で潰された者もいれば、仲間同士で凄い勢いでぶつけられた者もいる。

しかし、アンだけは無事であった。

アンも風で飛ばされそうにはなったが、それだけだった。


兵士がとっくに全滅したと言うのに、リエルの暴走は続いている。瓦礫と死体の竜巻がそこら中で発生している。

アンはなんとかリエルを止めたかったが、自分が飛ばされないので精一杯だった。

しかし、リエルの暴走は突然止まる。

不思議に思ったアンがリエルの方を見ると、リエルが倒れていた。

力を使い果たしたのかと思ったアンだったが、すぐにそれを否定する。原因はおそらく出血多量だ。

覚醒前にラースから受けた傷が、リエルの暴走のせいでさらに広がっていた。

アンは急いでリエルの傷口を自身の”再生”の”スキル”で塞ぐ。

アンの”再生”はすでに自己再生の域を超え、他人までも再生できるようになっていた。

しかし、他人に対してはまだ、あくまで応急処置程度しかできない。そのため、リエルはこれ以上出血することはなくなったが、かといって血量が元に戻ったわけではない。

そのとき、アンは後ろの方から人の気配を感じる。

アルタミラの人間かもしれないと思い、臨戦体制に入る。

すると、向こうから声をかけられた。


「そう警戒するな。私は君達の味方だ。」


現れたのはプロフェジア教のキラー・シャーロットだった。

しかし、それでもアルタミラの人間であることは変わらない。アンは警戒したままでいた。


「まあ、確かに警戒するなと言う方が無理な話だな…

話せば長くなるんだが…

とりあえずこれだけ言っておく。

我々の祖先、ミラー・シャーロットはこのことを予言していた。そしてそれはアルタミラには伝えられず、我々シャーロット家だけに伝えられてきた。

つまり我々はアルタミラに完全に組みしているわけではない。

これを信じるかどうかは任せる。

そしてもし信じるなら、警戒を解いて付いてきてくれ。

逃走ルートを確保している。」


そう言ってキラーは後ろの方を指差す。

アンは完全に警戒を解いたわけではないが、臨戦体制を解いてキラーに問いかける。


「……さっき、あなたは私達の味方と言ったけど、それはクラントの味方ということでいいの?」


「やっぱり君達はクラントの人間だったようだな、逃走ルートをクラントにしていて良かった。

もちろんクラントの味方だ…と言いたいところだが、完全に味方というわけではないな。だがまあ、ほぼほぼ味方だと思ってくれていい。

そして君達とはさっきも言った通り完全に味方だ。」


アンは数秒思考したが、ようやく結論を出した。


「分かったわ。あなたを信じる。

というか、信じる以外に道が無さそうだしね…」


「了解だ。付いてきてくれ。」


アンは頷き、リエルを背負って付いていく。

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