96,覚醒
あいつを…あいつらを…殺さないと……
次の瞬間、リエルはラースの剣を”サイコキネシス”で止めていた。今のリエルなら、精々ラースの剣を減速させるぐらいがやっとなはずなのに。
誰もが疑問に思った。当のラースも自分の健が何故動かないのか分からない。全くピクリとも動かないのだ。
そして次の瞬間、リエルの方から音がした。
リエルが立ち上がったのだ。そして何かブツブツ言っているような気がする。
ラースは剣を掴んでいた手を話し、リエルに話しかける。
「おい! さっきから何を言って———」
急にラースは話すのをやめた、いや、やめさせられた。
リエルがラースの体の動き全てを”サイコキネシス”で封じたのだ。
そしてラースはリエルと目が合う。
そのときラースは恐怖し、理解した。
自分が食われる立場に立ったことを。
次の瞬間、ラースの体はあり得ない角度で曲がる。
しかし、悲鳴を上げることは出来ない。なぜならリエルに止められているから。
そして、ボール状に丸められたラースは、そのままリエルの横を通り過ぎ、強固な壁を突き破り外へ放り出された。
リエルの横を通り過ぎる瞬間、ラースはリエルがさっきからなんと言っているのかを最期に聞くことができた。
「殺さないと」と言っているのが聞こえた。
次にリエルと目が合ったのはラースの部下。
ラースの部下も同様、恐怖し尻もちをつく。
「ひぃっ た…たのむ…たす———」
ラースの部下も動きを止められた。
そしてそのままボール状に丸められ、後ろの壁を突き破り外へ放り出される。
「リエル……?」
急変したリエルの様子を不思議そうに見つめていた。
どういうこと? “スキル”が急に強くなるなんて聞いたことがない…
いや…でも、マイク先生が最初の授業で何か言っていたような…思い出せ…!!
中で何か異変があったのだと確信した、外にいた兵士達は様子を見に数人が中の様子を除きにくる。
そしてリエルのことを確認するが、そのときに目が合ってしまう。
そしてラースと同じ結末となった。
そのとき不幸にも生き残ってしまった兵士が、全兵士へと連絡してしまう。
当然、全兵士で取りかかることになってしまった。
その頃、アンはほぼ答えに辿り着いていた。
それゆえに急いでリエルを止めようとする。
マイク先生が言っていたこと思い出した!
脳が弱ることで、脳が”スキル”に侵食され”スキル”がパワーアップするんだ!
でもこれをすると、廃人同様になってしまうとも言ってた!
アンがリエルを止めるため、リエルの両方に手を置き、揺らしながら大声でリエルに向かって叫ぶ。
「リエル!!!! 目を覚まして!!!!
このままじゃ、廃人になっちゃう!!!!」
ビンタなどもしてみた。しかし一向に目覚める気がしない。
そしてリエルが何かブツブツ言っているのが変わった気がした。
アンはリエルが話していることを聞くためにリエルの口に耳を近づける。
「オレから…離れろ…
オレの近くにいたら…お前まで…死んでしまう…」
身体的にも精神的にもかなり弱った声だった。
しかし、このままではリエルが廃人になってしまうため、先程と同様、アンはリエルを目覚めさせようとする。
するとリエルの声が強くなった気がした。
「オレから…離れろ…!」
そして、自分の体を傷つけて始めた。さらに過呼吸のような呼吸になる。
「いやだ!!! リエル!!!!
戻ってきて!!!!」
そう言い、アンはリエルの自傷をやめさせる。
その時、外にいた兵士達が入ってきた。
そしてアンは兵士達に方へ向くが、それと同時に発泡され数カ所致命傷を負う。
その時、リエルは発狂した。
自身の”サイコキネシス”を暴走させながら。




