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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
95/121

95,記憶

初めに見た記憶は今のオレより少し年下ぐらいの時のオレが、父親らしき人に庇われているところだ。

その父親はオレを庇ったせいで車に撥ねられ死んでいる。

………何故、その男がオレの父親だとわかったのだろう?

オレには別に父親がいるのに。

いや、そもそも…何故、この光景を見ている者がオレだと分かったのだ…?

オレはこんなこと経験した覚えはないのに。


次に見た記憶には、今のオレより少し年上ぐらいのオレがいた。オレは友達と話しながら学校から帰っている。

そして家に入り、廊下の先に女性が倒れているのが見えた………おそらく母親のはずだ。

オレには何故かそれが分かった。


次はどこかの道を、おそらく恋人と歩いている。

この時のオレは成人しているぐらいだろうか。

その恋人を見ていると、どこか懐かしいようなそんな気がした。

しばらくすると、正面の道からナイフを持った男が歩いていた。だが、オレのこの記憶の中の2人は、話すのに夢中でまだ気づかない。

そして距離が2mぐらいになったところで、ようやくオレが気づいて立ち止まる。それに疑問を持った恋人もようやく気づく。

ゆっくり迫ってくる男、だがオレは恐怖からか動けずにいた。せめて恋人だけでも守ろうと、少し1歩前に出るが、横から押されそのまま倒れる。

オレを押したのは恋人だった。

オレが恋人の方を向いた瞬間、彼女は男に刺されていた………


ここで記憶が途切れている。

そしてこの見たことのない記憶を振り返ったあと、今度は見たことのある記憶が、フラッシュバックした。


オレ達を逃すため、1人超越者と戦うことを選んだマイク先生………

マイク先生が死んだのは誰のせいだ…?

オレ達のせいだ…

つまり…オレのせいだ…


そして今目の前で死んでいるウェアは誰のせいなんだろう?

そう…オレのせいだ…


ここでオレの意識は現実に戻ってくる。

すると、オレははっきりと前が見えないぐらいの涙が溢れていた。

そしてオレは自分の体が妙に傷ついているのに気づいた。

ラースにやられたのか…と思ったが、おそらくこれは自傷だった。

そして次に聞こえたのはアンの悲鳴だ。

オレは急いで、アンの方に目を向ける。

そこではアンを気絶させようと、ラースが剣の峰の部分でアンに切りかかろうとしているところだった。

涙で前がはっきり見えないオレには、峰の部分かを判別することは出来ず、ラースがアンを殺そうとしているように見えた。


「や…やめ……やめろ………」


さっきの自傷で喉が酷く損傷していたオレは、上手く喋ることが出来なかった。そのため、ラースの耳には届かなかった。いや、届いたのかもしれないが、無視された。


そして、ラースの剣は、アンにもうすぐ当たるところまできた。

そのときオレは、今までにないくらい、超高速で頭が動いた。


ああ…アンが死ぬ……アンも死ぬ……

誰のせいだ……?  オレのせいか…?


この時オレは、全てが自分のせいなような気がしていた。


ああ…アンが死ぬ…アンが死ぬ…

オレのせいでアンが死ぬ……

またオレは何も出来ない…

何も…

いやだ…アンを死なせたくない…

でもどうしたら…

アンを死なせないためには…

あいつを…あいつらを…殺さないと……

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