9,焦り
オレは今9歳。つまり来年からオレは学校に入学出来る。来年と言っても、オレは入学してから10歳の誕生日を迎えるので、実は入学まであと1ヶ月を切っていた。
しかも、その学校は国内最高峰の軍校、ルーグラン校である。入学試験はとても難関らしいが、父によると、オレの実力なら余裕らしい。オレは楽しみで仕方がなかった。
すると、父が慌ててオレの元にやって来た。
「…リエル。今、敵国のヴァルランダと我が国クラントの仲がかなり悪くなっているのは知っているか?」
「うん。」
と、当たり前のことを父が聞いてきた。
「その理由については?」
「…」
オレはそういった事にかなり疎かったので、分からず沈黙で答えてしまった。
すると,父がかなり焦ってオレに言ってきた。
「実はな…ヴァルランダとの戦争にすぐに対応出来るようにということで、入学試験に…ヴァルランダやその歴史、地形などについての…ペーパーテストが出ることになったんだ!!!」
「えぇーーーーーーーーー!!」
オレも、父と同様にかなり動揺してしまった。
「え?、え?何でそんな大事なことが前々から分からなかったの?」
「…最近になって急にヴァルランダとの仲が悪くなったからな……そういうことかもしれん…」
「…でも、そういうのって普通は来年からの入試にするものでしょ?」
「……流石は国内最高峰のルーグラン校ということか…」
「……」
ルーグラン校の入学試験は、例年ペーパーテストはなく、”スキル”や身体能力による試験なのだ。
だから父は、オレにそれらばっかり教えて、勉強の方は最低限しかしていなかった。
早速、勉強が始まった。だが、”スキル“や身体能力の修行を全くしないわけにはいかなかったので、”サイコキネシス”で空中浮遊しながらノートを書いて勉強をした。ちなみにこれは、空気椅子をしながらノートを書くようなもので、かなりしんどい。
どうやら、ウェアもオレと同じようなものらしく、一緒に勉強をした。アンは、昔から勉強してたらしいので、オレ達に指導してくれたりした。
「こんなのも分かんないの?もしかしてルーグラン校には私だけ受かるかもねー。」
否、指導ではなく煽りである。
「てゆーかこれでオレが落ちたら、超有望株を落とすことになるけどそれでいいのか?ルーグラン校?」
アンを無視して、ウェアがそう言った。
超有望株ってとこ以外は、オレも完全にウェアに同意見だ。
「まあそりゃ、ちょっと点数が悪いだけで落とすことはないだろうけどね。でも、言っとくけどこのぐらい一般常識だからね?数学で言う分数ぐらいよ?あっそれも分からないのかごめんね?」
いちいち頭にくることを言ってくる。
それに、流石に分数ぐらい分かる…と思う。
オレとウェアは、必死に勉強した。
ここまで頑張ったのに勉強なんかで落ちるわけにはいかない、とほぼ一日中勉強していた。
いよいよ、明日がルーグラン校入学試験日である。