88,シャーロット家(2)
「”サ…サイコキネシス”……?」
え?
今この人達はオレの実力ではなく、オレの”スキル”に驚いたのか?
どういうことだ? 別に”サイコキネシス”は変な”スキル”ではないはずだが…
みんなも頭にハテナマークを浮かべていた。
少し間が空いて、キラーさんが話し始めた。
「……今、”サイコキネシス”を使ったのはあなたですか?」
「はい、そうですが?」
「あ、えーと、その…ありがとうございました。我々を守ってくれて、」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
オレは疑問に感じながらも、とりあえずは普通の受け答えをする。
しばらくお互いに沈黙が訪れた。
それを破ったのはラース先生だ。
「では我々は、娘さんにもあまり歓迎されていないようなので、そろそろ帰らせてもらいます。」
えっ?早すぎないか? とオレは思ったが、正直この気まずい雰囲気の中にいたくなかったので、何も思わないことにした。
それからラース先生とキラーさんが、お互いを気遣いながら会話して、オレ達は結局帰ることになった。
帰りの道でオレはラース先生に話しかける。
「少し早すぎませんでした?
もう少し粘れば何か情報を拾えたかもしれないのに、」
シャーロット家では何も言わなかったが、ここでは好きなだけ言える。
「いや、おそらく何も拾えなかっただろう。
そもそもあの娘さんがいるから、あのまま続けばこちらの情報がバレかねない。だから早めに帰ろうとずっと思っていたんだ。最後の方はよく分からない雰囲気だったから今なら帰れるか、と思ってああ言った。」
オレは一応納得させられた。
だが、そのよく分からない雰囲気が謎だ。
キラーさんが言ってたように、驚きやすいと言われれば何も反論出来ないし、フーカが大人しくなったのも、顔にお茶がかかりそうだったからというので一応筋は通ってる。
ただ何か違和感がある。
やはり、あの宗教には何かありそうだ。
だが、まあ何も拾えなかった以上、おそらくオレ達は強行突破になるだろうな。
実際に軍に潜入して情報を得る。
もしくは軍の偉い人を拉致する。
前の会議で上がっていたのはこの2つの意見だった。
おそらくこのどちらかになるだろう。
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その頃、シャーロット家ではリエルについての話しがされていた。
「この時期で”サイコキネシス”…まさかあの子が希望の星なの?」
メアリーがキラーに尋ねる。そのキラーは終始険しい顔をして何かを考え込んでいる様子だ。
「……まだ分からない…な……
とりあえず、俺は親父に相談してくる…」
「お義父さんに? 確かにそれは良いかもね。」
「ああ…何せ、これからの俺達の行動に…アルタミラ、いや、世界の未来が掛かっているからな…」




