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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
85/121

85,進歩

本を持って帰ってきたオレは、残りの4人全員にまとめた内容を聞かせた。

正直、何も進展なんてないだろうと思っていたが、ラース先生が「メモを見してくれ」と言ってきたので、渡してみる。

そして数秒経ち、何かに気づいたのかメモをみんなに見せるように広げた。


「リエルが書いてきたメモ、これにはアルタミラが大国となるための主な出来事が書かれているが、何か共通点があると思わないか?」


みんな一斉にオレのメモを見る。

何度見ても奇跡だなぁという感想しか出てこない。


「奇跡だなぁとしか思えないです。」


どうやらウェアも同じ感想を抱いていたようだ。

アンとアデン少将も同じような感じだな多分。


「まあ確かにそれも共通点と言えば共通点だが、もっと良く見てみろ。」


オレはさらに注目して見てみる。

すると、あることに気がついた。

オレが気づいたことにラース先生も気づいたようだ。


「気づいたか?」


「えっと…多分なんですけど、年代ですか?」


「年代?」


オレの答えにアンが頭にハテナマークを浮かべる。

だがその答えはすぐにラース先生から明かされた。


「正解だ。どの出来事も全部150年前に起きている。不自然だろ?」


「…確かに不自然ですけど…偶然ということもありますし、それがどう繋がるのですか?」


アデン少将がラース先生に聞く。

正直、-年代-と答えたオレ自身もそこのところをあまり理解出来ていない。

オレはラース先生の言葉に耳を傾ける。


「例えば、200年前に”予知”の超越者がいたとしよう。

“予知”の”スキル”は先のことになればなるほど予見出来なくなる。つまり、200年前〜150年前までの出来事はその”予知”の超越者によるものだ。」


「……なるほど…!! しかし…200年〜150年前となると、少なくともその者は50年以上もの間を正確に予言したことになりますが、そんなことが可能なんですか?」


「普通なら出来ないね。でも今回は超越者だから。

超越者は何事においても規格外。そういう存在なんだよ。」


「仮にこの仮説が正しいとして僕達はこれからどうすればいいんですか?」


ラース先生には十分な理由があり、合っているかどうかは別として面白い考察だった。だが、200年以上前にいた人物について考察したところで何になるというのか。

オレはそれについて聞いてみた。

するとラース先生がニヤリと笑ったような気がした。


「200年前の人間の寿命は大体30代半ばぐらいなんだ。」


ラース先生が人差し指を立てて、そんなことを言う。

オレはもう一度、だからどうなのか聞いてみようとしたところで、ラース先生が再び話し始めた。


「50年以上の時を予言した人間の寿命は、大体35歳前後。つまり、その者がずっと予言し続けることは物理的に不可能。ならばどうやったのか。

おそらく予言書のようなものを作り、それを後世に伝えてきた。ここまではいいか?」


オレ達4人全員が頷く。


「オレはその予言書に、今回のクラントとヴァルランダの戦争についても書かれていると考えている。」


「そんな馬鹿な!! 200年以上前ですよ!?

いくら超越者でも予言できる訳がない。」


「まあ落ち着け。”予知”の”スキル”というのは先のことほど予言しづらくなる。だが、予言しづらくなると言っても戦争だぞ?

オレは戦争というのは最大級のイベントだと考えている。

それなら200年前でも予言出来るのではないか?

そしてそれが起こることさえ分かっていれば、予言無しでも対策を立てやすい。

だから今回のような結果になった訳だ。」


ラース先生の話はこれで終わりのようだ。

オレは先生の話を受けて思案してみる。


「………確かにあり得ない話ではないですね。

飛躍し過ぎている気もしますが…他に手掛かりがない以上、その線で調べてみましょう。」


オレ達は次にやるべきことが決まった。


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