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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
82/121

82,束の間の休息

これからの作戦というのはシンプルなものだ。

まずは町の人に聞いてみたり、図書館などで調べたりしてこの国のことを調べる。

国の文化や歴史、内情など調べることは沢山ある。

最終目標はアルタミラの目的や戦力を正確に分析することだ。そうすることで、情報戦を征しやすくなり、最終的なクラントの勝利につながる。


だが、ひとまず今日は体を休めて、本格的な行動は明日からということになった。

アルタミラに潜入してからまだ2日も経ってないが、1日目も2日目も早朝から何時間も歩きっぱなしの生活だったため、流石に疲れが溜まっていた。

それを聞き、オレとウェアとアンは早速3人で宿屋を探検してみることにした。


「まったく子供ってやつは元気だな。」


アデン少将がそんなことを言う頃には、もう3人の姿は見えなくなっていた。


宿屋を探索し終わって、部屋に戻ってきた3人はまず真っ先に布団を敷いた。

敷くだけなら、オレの”サイコキネシス”で一瞬である。

宿屋に入ったタイミングで、もう8時半を回っていたので、今はもう明日に備えて寝てもいい時間になったのだが、遊び足りない3人はまだ寝る気がないらしい。

布団に寝転んで何で遊ぶかを話し合った。

今回の任務は遊びに来たわけではないので、トランプなどの遊び道具を全く持ってきていないので、遊ぶものがなくて退屈していた頃、オレはイタズラ心でウェアの後ろにある枕を操ってウェアの頭に思いっきりぶつけた。

するとウェアの頭は思いっきり床に叩きつけられ、頭を打った。と言っても布団があったから痛くはないと思うが、

オレはそれを見て思いっきり笑い、アンは最初に驚きが来てその後に笑っていた。

一方、当のウェアは自分の枕をオレに向かって思いっきり投げてきた。


「…やったなぁ〜この野郎、」


ウェアの投げる枕は、常人の投げるそれとは違い、速いスピードで飛んできたのだが、オレに速さは関係ない。オレは”サイコキネシス”でオレに当たる直前で止めた。

ウェアからはオレの顔が枕で隠れて見えないから、オレは枕の横からヌルっと顔をはみ出し、ニヤリと笑ってみせた。

それを見たウェアの顔が真っ赤になり、ウェアはオレの目の前に”瞬間移動”して枕ごとオレを床に叩きつけた。


「いってぇ〜〜」


オレの場合は布団が無かったため、もろに頭を打ってしまう。それゆえにとても痛かったので、痛がっていたのだが、それをウェアに笑われてしまう。

あと、アンが大笑いしていた。

オレとウェアは、そんなアンを見て、2人で顔を見合わせてから、一緒に枕を構えた。


「えっ、えっちょっ 何?」


アンが笑うのをやめ、少し冷や汗を流す。

オレとウェアはニヤリと笑ってから、アンに枕を投げつけた。


3人で枕投げに夢中になっていたら、3人とも汗だくになっていた。なので、風呂に入ろうという話になったのだが、風呂は1つしかないので、順番を決めることになった。

ちなみにこの宿屋には大浴場はないので、各部屋にある部屋風呂1つしかない。


「レディーファーストってあるでしょ?

だから私が1番でいいよね?」


「はぁ?お前が1番汗かいてねぇじゃねぇかよ。

お前は最後でいいだろ。」


「問題なのは量じゃないでしょ!

私はあんた達よりよっぽど汗を嫌ってるの!」


「なんだそれ?

理屈になってねぇじゃねぇか。」


「まぁまぁ2人とも…落ち着いて…」


口論するアンとウェアを尻目に、オレは2人を仲裁するふりをしながら、”サイコキネシス”でひっそりと入浴の準備を進めていた。

(着替えはもう準備した。風呂ももうすぐ沸きそうだ。

風呂さえ入れば、あとはオレのもの。まさかオレが入っているのに一緒に入ってきたりはしないだろ。

あとはどうやって脱衣所まで行き、早々と風呂に入るかだな…)

その時、風呂から-お風呂が沸きました-という声が聞こえてきた。オレは思わず、反射的に振り向いてしまった。

(しまった! 音が鳴るのを忘れていた!!)

すると何かに気づいたのか、2人に肩を掴まれる。


「なぁ、風呂って沸かしてたっけか?」


「いや、シャワーだけでいいって言ってたはずだよね〜」


2人のじっとりとした目付きが、直接見なくても何となく気配で分かる。

だが、オレにはまだ言い訳がある。


「いや、オレはシャワーだけよりしっかり入りたいなぁっと思ってたからなぁ〜。

オレがいつ入れるか分かんなかったから、いつでも入れるように先に沸かしておいたんだよ。」


オレは内心で-完璧だ-と思った。

これなら別に風呂を沸かしていたことが不自然にならない。

2人に黙っていたことは不自然だとは思うが、決してオレが抜け駆けで先に入ろうと思っていた証拠にはならない。

しかし、そんなオレの考えは一瞬で打ち砕かれることになる。


「なあリエル、着替えどした?」


「すいませんでしたぁぁぁぁ。」


オレは反射的に土下座した。


結局、オレが最後になってしまい、今ちょうど上がったところだ。

内心では自分が悪いと分かっているのに、何故か愚痴が絶えない。

(大体最初からじゃんけんで良かっただろ!

何で話し合いなんだよ!)


もう寝ようと電気を消した。

オレは寝るとか言っていても、何かとみんなで夜更かししてしまうんじゃないかとワクワクしていたが、疲れが溜まっていたのか、電気を消した瞬間2人は寝てしまった。

少し残念な気持ちになりつつ、オレも布団に寝転ぶと、オレもそのまま知らぬ間に眠りについていた。

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