80,スイープシティ
この村はアルタミラの辺境の地にあるらしい。
それゆえに中のことはあまり良く知らないらしいが、それでも他国の者よりは詳しいだろうと思い、オレ達は旅人という設定を崩さないように慎重に質問していった。
まずこの村はアイカ村というらしい。
主に農業で賄っており、月に1度来る中央からの商人に作物を売ったり、逆に必要な物を買ったりなどして暮らしているらしい。
人口は67人で、村民全員仲が良いそうだ。
それとここから一番近くの都市も教えてくれた。
オレ達はそこで情報を集めることにした。
村の人が言うには、そこは首都ではないものの、首都に次ぐレベルで大きいらしい。
その都市のことを詳しく聞けば、オレ達も知っているほど大きい都市だった。
1泊だけさせてもらい、次の都市までの大体の方角と注意点を教わってから、オレ達は再び出発した。
「すごい親切な人達だったね。」
アンがそう言うとみんな同意という顔になった。
「本当にこんな国が裏で悪いことやってるのかって疑っちゃうぐらいだったな。」
「気を抜くなよ。任務はまだ始まったばかりだ。」
「分かってますよ。何があっても任務を遂行します。」
次の都市まで、かなり遠いらしく、数時間歩いたがまだまだ何も見えない。
森や雨の中も抜けてきたため、疲れが少しずつ出てきた頃、ようやく何らかの影が見えた。
「おい、あれじゃないか?」
ラース先生がみんなの方を向きながら一点を指差す。
「ん? どこ? 見えない…」
「いや…薄らだが見えるぞ!」
「よく見えましたね。
それと村の人達に説明されただけで迷わず来れるのは流石です。」
「ん、あ、まあ大したことないよ。」
ラース先生はアデン少将に褒められて照れ臭いのか、真っ直ぐに向き直る。それにしては少し違和感があるが。
ラース先生は再び歩き始めたので、オレ達もそれに着いて行く。
都市の周りは舗装されており、歩くのが少し楽だった。
「よし、着いたぞ。ここが村の人達が言っていたスイープシティだ!」




