8,既視感
オレが7歳になると、祖母が死んだ。
死んだのは、母方の祖母だ。
と言っても、オレはあまり悲しくなかった。
なぜなら、死んだ祖母はオレが物心つく前に病気で倒れ、ずっと目を覚ましてなかったからである。実はオレは、祖母の顔すら写真でしか見たことがなかった。
「お母さん………お父さんのところへ逝ったのね……」
っと母が泣きながら呟いている。母の父、つまりオレの母方の祖父は、オレが生まれる前に死んでいる。ちなみに、オレの父方の祖父母は、まだ元気にやっている。
「エルナ……」
そんな母に、父は真剣な顔で寄り添っている。
オレ達は葬式に行くことになった。葬式には、オレの知らない人が沢山来るらしい。オレは、不謹慎かもしれないが、初めての葬式に少しだけ好奇心を持っていた。
葬式場に着いた。
この時、オレの中に違和感があった。
(この感じ…どこかで…)
いわゆるデジャブというやつだろうか。
この風景というのか、雰囲気というのが何か見覚えがある。
オレはさっきまでのテンションは完全に無くなり、何故か悲しくなっていた。
オレにとっては実の祖母だから当然かもしれないが、何か違うような気がする。
その何かが分からない…思い出せない…
オレは自然と涙を流していた。
その涙は何に対してのものだったのか…