75,ロードvsガイア
ガイアはロードの周りに、土で針を作りそれをロードに向け、放つ。ロードは力を入れて無傷で守りぬく。
「それで俺をどうやって殺す?
その程度の攻撃じゃ、俺にカスリ傷さえつけられんが?」
少しイラッとしたガイアは、大地に手をかざす。
するとロードが立っている所からガイアが手をかざしたところを繋いだ形で大きな地割れが起き、その間にロードが落ちてしまう。
ロードが落ちてから数秒後、ガイアは大地を元に戻しロードを地面の中に閉じ込める。
すると、ガイアは大地が少し揺れているのに気付き、ロードが地面から出ようとしているのだと考え、両手を地面にかざし地面の強度を高める。
それでもやはり地面は少し揺れている。
「…どんな馬鹿力なんだよ……」
過去の戦いで同じ技を何度か繰り出したことがあったガイアだったが、地面の中から抜け出そうとした者、ましてや地面の強度を高めた状態で抜け出そうとした者などいなかった。
ロードの強さがどれほどなのかが分かる。
そしてしばらくするとガイアがいるすぐ下の地面から手が出てきて、その手がガイアの胸ぐらを掴む。
「俺だってここまで本気を出したのは久しぶりだ。
結構疲れたぞ。だからこそ言うが、ここで手打ちにしないか?」
ロードが掴んでいた胸ぐらから一瞬手を離し、次に首を掴む。そしてロードが地面の中から這い上がってくる。
「俺を見逃すなら、ここでお前を殺すのは止しておこう。
俺からすればここでお前を殺すのが最善だ。
だが俺だって、対アルタミラの重要な戦力を削りたくはない。だがそれで俺が逃げられないというのであれば俺は躊躇なくお前を殺す。
だからこれは最大限の譲歩だと思ってほしい。」
「…先に私が断っといて、今更命乞いなんてカッコ悪い真似はごめんだね。」
「ほぅ、大した玉だな。本当に殺すのが惜しい。
その腹の傷さえなければもう少しいい勝負をしただろうに。
まあいいならば死ね。それがお前の決断だ。」
ロードがガイアの首をもの凄い力で締め上げようとしたその時、ロードの強化された肉体の全神経が警戒信号を出していた。
ロードは咄嗟に後ろに飛び退く。その時、ガイアから手を離してしまった。
「不意打ちを外すとは…腕が鈍っているのか…いやいやただの自分の修行不足か…」
ガイアの方から男の声がした。
ロードがふり返るとそこには青年が立っていた。その男は剣を片手に持っている。
しかしその口調は青年のようには思えない。
「誰だ!!!?」
ロードがその男に問いただす。その声と同時にその男の顔を見たガイアは安心しきった顔をする。
「来てくれましたか。来るとは聞いていましたが、まさかウエスタンから…? 一体どれほど距離があると…」
「ああ、久々に全力で走ったぞ。いいウォーミングアップになった。
それより相手はロード・デイバードで間違いないな?」
「はい。何とも情けない姿で申し訳ありません。」
「構わん。お前が無事で何よりだ。よく持ち堪えた。
あとはゆっくり休んでおけ。戦いの巻き添えにならないようなところでな。」
「はい。」
ガイアの返事を聞くと、その男はようやくロードの顔を見る。
「思ったより若いな、ロード・デイバード。」
「…お前は誰だ? これで4回目だぞ…
まあ大体察しはついてるがな…」
その男が持っていた剣を地面に刺し、その上に自分の両手を乗せる。
「私の名はグラム・ジャック。
クラント軍大将をさせてもらっている。」




