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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
世界動乱編
73/121

73,窮地

「よしじゃあ行こうか。」


ローズンへ向けて全員で出発する。

ここの辺りは、木がたくさん生えていたりするので、少し隠れながら移動する。

恐怖心が強い者や早くローズンへ行きたいなどみんなの考え方は様々だ。それゆえ、全員のスピードが少しずれて、徐々に距離が開いていく。


「おい、早く。」先頭を行くウェアが最後尾にいるティアラに話しかける。


「い、いや…だって、周りを警戒しておくのも悪いことじゃないでしょ…?」


「悪いことだらけだよ。そもそもこっちが警戒していようがいまいが、見つかった時点で終わりだ。

それに警戒して歩くのが遅くなったら、結局助かる確率を減らしてしまうことになるぞ。」


「い、いやまあそれはそうなんだけど……ってうわぁ!!」


ウェアはティアラの手を掴んで引き寄せる。


「とにかく全員俺の近くにいろ。いざとなったら俺の”瞬間移動”で逃げるんだからな。俺は自分に触れている奴、もしくはそいつに触れている奴としか、一緒に”瞬間移動”することが出来ない。しかも目で視認出来る範囲400m以内だ。

だからただの時間稼ぎにしかならないだろうけど、」


「だからこそ急ごう。いつ奴が現れてもおかしくは———」


「———リエル後ろ!!」 「えっ?」


オレが後ろを振り返ると分厚い氷の壁が出来ていた。シトラが作ってくれたのだ。その分厚い壁が出来てすぐに壊れる。

しかし壁があったことで、回避に成功した。

回避したと思ったらウェアがオレに触れてくれて”瞬間移動”する。

かなり移動したと思って後ろを見たら、すぐ近くにもうロードがいた。

殴りかかってくる動作をした気がしたので、咄嗟に顔の前に左腕を持っていくが、左腕を出した僅か0コンマ数秒後、左腕がバキバキに折れた後、後方へ吹っ飛ぶのを感じた。

痛みはその後にやってきた。

オレが吹っ飛んでしまったことで、ウェアが”瞬間移動”出来ずにいる。

それを見逃すはずのないロードは、ウェアに殴りかかる。

それをアンが、自らの身を犠牲に助ける。

すぐにみんながロードから距離をとる。


「…子供にしちゃ良い反射神経だ。殺すのが少し惜しいな。

俺達の国に来ないか? 悪いようにはしない。」


「悪いけどお断りだね。」


いつのまにか”再生”で回復したアンが答える。


「おや? 君はさっきかなりの手傷を負わせたはずだが?」


「そんなことより一つ聞きたいんだけど?」


ティアラが会話に割って入る。


「マイク先生は?」


「あの世で会うと良い。」


表情を変えたティアラがロードの周りにスケルトンを10体以上出現させる。


「ティアラ!!」


「分かってるよ! 私じゃあいつに勝てないことぐらい!!

だから時間稼ぎのつもりだけど…」


ティアラが時間を稼いでくれて、ウェアが逃げるように準備してくれているというのに、オレは放心状態になっていた。

(マイク先生が…死んだ……? 誰のせいで…?

マイク先生は…オレ達を逃がすために……?

じゃあ…オレ達の…オレのせい……?

前にもこんなことがあった気がする…

オレのせいで誰かが…

いつだ…? 誰なんだ…?

前にもこんなことが…)

特別マイク先生が好きだったわけでも、前にオレのせいで誰かが死んだわけでもないのに、オレはそれ以外考えられなくなるぐらいにはなっていた。


「———エル? リエル!! リエル!!」


「…んあっ? ああ…」


アンの叫びで、ようやくオレは目が覚めた。

しかし、目の前ではロードがオレに殴りかかろうとしていた。

オレは腹にそれを食らってしまい、さらに後方へと飛ぶ。

オレは木に打ち付けられ、さらにそのまま頭へ殴られそうになる。


「「リエル!!!」」


みんなが叫ぶ。しかし、オレは意識が朦朧として回避も防御も出来ない。

ウェアが”瞬間移動”で助けに入ろうとするが、間に合いそうにない。

しかし、ロードの拳はリエルにではなく、土で出来た壁に激突した。

その壁は崩れはしたが、一時ロードの攻撃を止めるほどには頑丈であった。


「!!!」


この場にいた全員が驚く。


「危なかった。良かった間に合って…」


その声の主は、ガイア・ラマスター

“地形生成”の超越者だ。

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