67,作戦通り
またエガーが突進してきた。
今までは、エガーの攻撃に防御することしか出来なかったが、今回の攻撃は2人とも回避することが出来た。
何故ならエガーの動きが遅くなっているからだ。
だがそのエガー自身は、特に自分の体に違和感を感じているわけではない。
しかし、実際に2人に躱されたのを見て少し体に違和感を感じ始める。
すると今度は、2人で突っ込んできた。
2人の方から攻撃を仕掛けるのは今回が初めてだ。
エガーはすでに満身創痍であるルビアを先に攻撃するが、ルビアはそれを喰らいながら受け止め、その隙にシトラがエガーに触れる。
払い除けようとしたエガーであったが、シトラはそれを躱しさらに触れ続ける。
仕方なくエガーは再度ルビアに攻撃する。
ルビアはエガーを抑えている状態なのでそれを喰らってしまう。
ルビアはそれで倒れてしまった。
それを見たシトラは、エガーに触れることを一旦止め、ルビアを抱えてエガーから距離を取る。それを追いかけようとするエガーだったが、何故か追いつけない。
「私の体に何をした?」
エガーがシトラにそう問いかける。
シトラはそれを無視してルビアを氷の中に包む。
「とりあえず凍ってて、ここは安全だから。
協力ありがとう、あとは任せて。」
「私の質問に答えてはくれないのかね?」
自分の体に異変を感じつつもまだ余裕の表情を見せるエガー。それもそのはず、戦いを始めてからまだエガーはノーダメージなんだから。
「すぐに分かるよ。」
そう言うとシトラはエガーに急接近する。
普通なら反応出来ていたエガーであったが、体が思うように動かない。それと反応速度も鈍っているようだ。
それゆえ、シトラに体を触れられる。
鈍い動きでそれを振り払おうとするが、それも躱され、今度は足を掴まれる。
こういうやり取りを複数回繰り返すと、エガーの体は年老いた老人のように動きが鈍くなっていた。
そして、また足を掴まれその状態がしばらく続く。
するとエガーの足はほとんど動けなくなっていた。
「ようやく分かった…お前がさっきから俺に攻撃するわけでもなく、俺の体に触れ続ける理由…」
「まあもう遅いけどね。」
膝立ちになったエガーと立ったシトラが、ちょうど同じぐらいの身長になって話し合う。
「一応聞かせてくれる?」
「……お前は俺に触れることで、俺の体内を凍らせていたんだろ? だからお前が触れるたび俺の動きが鈍くなったんだ。初めの方はお前の触れる時間が少しずつだったから気づき辛かったが、こうやって長時間触れられることでようやく気づいてきた。炎の奴が”スキル”を使わなかったり、色々と不審な点はあったのにな……」
「一つ補足すると、私はあなたが体内を凍らされるのを気づかないように、自分を中心に周りの気温をちょっとずつ下げていった。
あなたの”スキル”って金属系でしょ?
初めに私と一対一した時、私が周りに氷の攻撃をしたり冷気を放ったりしたら、あなたの体の体温が急激に下がっていて、それで金属の持つ熱伝導性だと思った。
ちなみにここの気温は氷点下100度より更に下、今も下り続けている。
さっきルビアと一緒に戦ってた時も氷点下40度はあったかな。ルビアは炎の”スキル”で気温だけには対応してもらった。それとあなたの場合はあなたの防御力があるからこそね。」
シトラがうっすらと笑みを浮かべながら言う。
そしてゆっくりとエガーの頭に手をのせる。
そして周りの冷気を解除する。
「今から脳を凍らせる。完全に凍らせるには結構時間がかかるから、苦しみが長く続いちゃうかもね。ごめんね。」
シトラが皮肉たっぷりに言う。
エガーは諦めた表情で、ゆっくりと目を閉じる。
次の瞬間、シトラはエガーの脳を凍らせ始める。
そして約1分後、エガーの脳は完全に凍った。




