42,首都ツァンバル
ここ、ツァンバルにはシトラとアンとソラが向かっていた。
ツァンバルは遠いため、朝早くから列車で出発だ。そのためみんな眠たそうだ。
だが、不平不満を言う者はいない。それほどに皆真剣に取り組んでいる。それに、ここツァンバルは最もアリスちゃんがいる可能性が高いと、皆が占いの結果を見て結論付けた場所であったため、より気が引き締まるのは当然だ。
しかしツァンバルの大きさは、首都というだけあってライアスのおよそ1.5倍の大きさで、探すのは大変そうだ。
ただ、その分大人は3組の中で一番多く割り振られている。
ツァンバルに付くと、ライアス組から、誘拐された可能性が限りなく高いという情報がきた。これによって、皆の気はまた引き締まった。
今回の作戦は、ユウライでの捜索と同じように”透視”の”スキル”を持つ者に探させる。クラントには”透視”を持つ者が2人いるのだ。しかも、今回ツァンバルに来た者の方が、より”スキル”が極められている。
ただ、流石に家が多すぎるので、まずは事前の調査で怪しいと踏んだところへ行く。それも全員じゃなく、2手に分かれて捜索を行う。
アン達がいるのは、”透視”の方ではなくもう一つの方だ。
もう一つの方は何をするのかというと、ツァンバルにある大きい孤児院に行ってみて、何か情報を掴めないか探ってみる予定だ。それに、もしかしたらそこにアリスちゃんがいるかもしれないし。まあその可能性は低いだろうけど。
その孤児院というのは、いかにも大きそうな名前で、ツァンバル孤児院という。地名の名前をそのまま使っているタイプだ。
そこは、大きい公園ぐらいある遊び場があって、子供達が暮らしているであろう建物はもっと大きい。遊び場には、公園にあるような遊具もあったり、子供達がボールで遊んでいたりした。まさに公園のようだ。
事前に、来ると伝えてあったのか、同伴の大人が警備員の人に少し挨拶すると通された。
アン達が敷地内に入る。アン達も子供なので、側から見れば新しい子供が来たと思ったのか、皆興味津々だ。
そのまま遊び場を通って建物内に入ると、管理人らしい大人が対応してくれた。同伴の大人が管理人と話している間に、アン達は建物の周りを見てみる。この建物は外から見ると2階建てで、2階に行くための階段があったのだが、その横に地下への階段もあった。
だが、さっきから見ていて、2階に行く子供達は居ても、地下へ行く子供達はいない。
アンは、下はきっと管理人専用なんだろうと思いスルーする。
すると、大人の人が会話を終えたらしく、アン達に近づいてくる。
「私達と管理人さんで、もう少し奥で話して来るがお前達はどうする?」
すると、シトラが
「地下には何があるか聞いてきてくれますか?」っと大人の人に言う。
どうやら、シトラも地下に子供達が誰も行かないことに違和感を覚えたようだ。
アンがシトラを見ると、シトラの顔は真剣そのものだった。
そしてその顔は、何かを確信しているような気がする。何かアンが気づいていないことに気づいたのだろうか。
「地下?何故そんなことを聞く?」
「私は今地下への階段を見ていましたが、子供達が誰も降りようとしないのです。おかしくありませんか?」
「別におかしいとは思わないがな。子供達は入ってはいけない場所なのだろう。」
大人の人は、アンと同じ考察をしていた。
「人には好奇心というのがあります。それも子供であればあるほど強いでしょう。なのに誰も降りようとすることはおろか、覗こうともしていないんです。普通は禁止されていたら、逆に好奇心が働いて気になって仕方がなくないですか?」
シトラの説明は、大人を説得するのに十分だった。
「…なるほど。分かった聞いてこよう。それで最初に聞いたことだが、お前達はどうするつもりだ?」
シトラが、アンとソラの顔を少し見ると、
「私達は地下に入れるのなら入りたいです。もしそれが無理なら、私達も奥で話を聞きたいと思います。」
「そうか、分かった。」
大人の人が、管理人のもとへ向かう。そしてまた話をしているようだ。はたして地下には何があるのか。




