40,真実
大人達は早速もう一度近隣の人に聞き込みに行ってくれた。
その結果分かったことは、アリスちゃんの誕生日の8日前、アリスちゃんとよく仲良くしている友達の従兄弟の誕生日らしい。
ちょうど2年前、その子が偶然こっちに来ていて、みんなで誕生日パーティーをすることになったらしい。
その友達の母親によると、たしかアリスちゃんも参加していたそうだ。
これで全て合点がいった。
友達の従兄弟の誕生日なんか、母親が知らなくても無理はないし、その日アリスちゃんの母親は、家で遊んでいたと言っているが、友達の母親は誕生日パーティーに参加していたと言っている。
つまり、アリスちゃんは2人いたことになる。
ちなみにその友達の母親によると、外が暗くなる前には帰らせたそうだ。そして、その友達の家とアリスちゃんの家はさほど遠くない。
つまり、誰かに誘拐されたのは確定ということでいいだろう。それと、イリアの推測が正しければ、アリスちゃんは首都ツァンバルにいる。
今回の調査で分かったことは、すぐに他の所へ向かった者にも伝えられ、誘拐されたとみなして調査をすることになった。
オレ達は、一応占い通りにライアスにいる可能性があるので、結局ライアスを隈なく捜索することになった。
捜索方法は、結局地道に探すだけだ。
もし匿っているならこの辺だ、とかの予測はするが、それだけ。もし整形していたり、髪色を変えられていたりなどで姿形を変えられていたら、どうしようもないと思うのだが…
それに、ルビアとイリアはあの会議に参加していないので、
「もう死んでるんじゃないの?」
っとかなり不謹慎なことを言っている。まあ無理もないか。
オレ達はまだ探し続けた。
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「どうだ?様子は。」
明かりが消えていて、カーテンが閉まっている部屋で2人の男が話している。
「おそらく”ドッペルゲンガー”というのは、バレてしまったでしょうね。」
「そうか…社会的に存在しない人間というのは中々に有用だったのだが、まあ完全にとまではいかないか。」
ソファーに座っている男が、悪そうな笑みを浮かべる。
「だが、この場所までは特定されないだろう。おまけにアリスの姿形、名前まで変えている。社会的に存在しないというのは、今も変わらない。」
「そうですね、ですが極力目立った行動は避けましょう。少なくともクラントとヴァルランダがぶつかるまでは。」




