38,ライアスへ
プラン通りに、オレとルビアとイリアはライアスへと向かった。一緒に来た大人は、知らない人ばかりだ。
ただ、教師の人も少しだけいるので、話すぐらいは出来る。
オレ達の任務はアリスちゃん捜索だが、オレ達が向かうライアスはアリスちゃんの住んでいる都市なので、情報収集も任務のうちに含まれている。
オレ達は列車に乗ってライアスへ向かう。
オレ達は4人席に座り、オレは窓側の席を、ルビアはオレの横、イリアはオレの向かいに座っている。
「ていうか、ライアスってどんぐらい大きいんだ?」
「さー。ウエスタンと同じぐらいじゃねーの?」
ルビアが聞いてきたので、オレが答える。
ちなみにウエスタンとは、オレ達が通っているルーグラン校がある都市だ。我が国クラントには、3つの大きい都市があり、それが、ウエスタンとライアスと首都であるツァンバルだ。
というか、アドランス家なんだからそのぐらい知らないのか?
そう思っていると、向かいの席に座っているイリアが答える。
「ウエスタンよりは大きいよ。まあツァンバルよりは小さいから、まだ良かったと思うことだね。」
そう言えば、イリアも一応貴族らしい。
ただ、アドランス家やオーケニアス家と比べると、かなり小さい貴族なのだが、ルビアよりは賢そうだ。
それから少しすると、ルビアが愚痴を言い始める。
「ていうかさ、探すもなにも、まずそのアリスって子はまだ生きてるのか?仮に生きてたとしても、2年も経てば容姿なんかすぐ変わりそうだし、どうやって見つけるって言うんだよ。」
アリスちゃんが生きてるかどうかは、あの会議にオレが参加していたからこそ分かることなので、そんな疑問が生まれるのは至極当然だ。口止めされてるので、そのことは言えないが…それに、どうやって見つけるかについてはオレも同意見だ。
「さあね、仮に生きてるとしたら、多分誰か親切な人にお世話になってると思うから、一軒一軒訪ねてみるとか?」
「面倒過ぎるだろそれ…」
「まあ流石に無策で挑むわけじゃないだろう。さっき大人達に聞いたら、後でゆっくりと説明する。っと言ってたから、何かしら作戦はあるんだろう。」
こんな会話をしていると、ライアスが見えてきた。
「あ、見えてきたぞ。」
オレ達は列車を降りる。
さて、まずどうすれば良いのだろうか、
大人達!指示をくれ!
オレが質問しようとすると、ルビアが先に質問する。
「あの…それでどんな作戦があるんですか?」
「作戦?何のことだ?」
ルビアが少しオレを睨む。
「え?いや…さっき後からゆっくり説明するっと言われたんで、てっきり作戦があるものかと、」
「ん?まず我々はこれからロカートナー家を訪れる予定だが?そこで得た情報をもとに捜索を始めようと思っていた。
ああ、おそらく【どうやって探すのか】っと聞かれたので、(情報を得た後で)ゆっくり説明するっていうことを言ったのだろうな。」
「ああ,そうですか…ありがとうございます。」
ルビアがそう言って一礼すると、オレに向かって小声で話しかけてきた。
「おい、お前の言ってたことと違うじゃん。」
「いや、合ってただろ。あいつの説明が悪いだけ。」
それでもルビアは不満そうだ。
オレ達はアリスちゃんの家に着いた。
ちょうど今は、父親が”ドッペルゲンガー”のアリスちゃんを外に連れ出してくれている。
大人達は、まず近隣の人々の聞き込みから入るそうで、家の捜索はオレ達に任せられた。
オレ達は聞き込みをしなくて良いのか、と聞くと子供相手に真剣に答えてくれるとは思わないという理由らしい。
なら、これからアリスちゃんの母親と家を捜索するのも同じようなものだと思うのだが、まあ細かいことは気にしないで、しっかりと任務につこう。
オレ達は、母親と一緒に家へ入る。




