35,会議
本物のアリスちゃん捜索のため、オレ達は会議室に案内された。
ただ、全員が入るのは少し多いような気がするため、オレとシトラとイドラと引率の先生だけが中に入ることになった。
「では、早速会議を始めたいと思う。」
っと少し強面の男が話し始める。この人の話を遮るだけでも怖いと思ったのだが、横にいるシトラが何も気にしないような顔で質問をする。
「まず一ついいですか?こんな言い方をしてはなんですが、本物のアリスちゃんはまだ生きているのですか?」
確かにそれはオレも思っていたことだが、流石はオーケニアス家。なかなか肝が座っている。
「ああ、生きている可能性が高いと思われる。」
おそらくそういう質問が来ることを予想していたのか、あるいは元からそれを言うつもりだったのか、スムーズに質問に答え始める。
「スキルブレイクというのは、その本人が死ぬと解除される可能性が高くなる。それは死んでから時期が経つほど確率が上がる。そしてアリス・ロカートナーが”ドッペルゲンガー”を使ったのは約2年前だとされている。つまり、仮にアリス・ロカートナーが死んでいたとすれば、すでに解除されている可能性が高い。ちなみにこのスキルブレイクの解除が高くなることは、秘密にされている。決して他言することのないように。もちろん本人が生きているが解除に成功した例もある。」
このスキルブレイクの解除を高める方法を秘密にしているのは、おそらく自殺を止めるためだろうな。
スキルブレイクを解除するためなら死ぬ、という人が現れてもおかしくない。
というかティアラならそうしていただろうな。まあもうその結論に至っていそうな気もするが…
とにかく、この場にティアラがいなくて良かった。
「さて、アリス・ロカートナー本人が生きている可能性が高いということを証明したところで、本題に入ろう。」
そう言えば、この会議はアリスちゃん捜索のためだったな。
「まず、本物を見つける方法だが、正直なところ場所の特定は正攻法では不可能に近いだろう。だから少し不本意だが”占い”の”スキル”を持つ者に大まかな場所を特定してもらう。」
占い師に頼むのか…確かに少し信憑性に欠けるが、これが一番成功率が高いか…
「皆知っての通り、占い師というのは信憑性が少し低い、っとオレは思っている。だから3人の有名な占い師にそれぞれ占ってもらい、その占われた場所がそれぞれ違う場合は、3ヶ所全てに人員を割く。」
だからオレ達に声がかかったのか?
事情が事情だけにあまり口外するべきことじゃないし、オレ達は9人いるからちょうど3ヶ所に人員を均等に割くことが出来る。
「とりあえずの作戦説明は終わったが、他に何か良い案のあるものはいるか?」
そう言われたので、オレは口を挟みたかったけど怖くて言えなかったことを言う。
「…あの…捜索というのなら、我が校の教師であるガメラ・フォート先生とマイク・ワンダーソウル先生にも話をしたらどうですか?2人は”探知”の”スキル”と”千里眼”の”スキル”をそれぞれ持っています。」
オレがそう言うと、答えたのは強面の男ではなく、オレの横に座っている引率の先生だった。
「確かにマイク先生の”千里眼”は良いかと思いますが、ガメラ先生の”探知”はダメですね。彼が出来るのは自分が認識している者を探し当てること。”ドッペルゲンガー”のアリスちゃんは、本物のアリスちゃんと分離してから約2年も経っているのだから、容姿はずいぶんと変わってしまっているでしょう。だから彼が”探知”を使うには、おそらく本物のアリスちゃんを一度見る必要がある。」
フォート先生の”探知”ってそんなに不便そうなものだったのか、、
そのまま会議が続き、約30分して終わった。
結局、マイク先生には話をするらしい。他にも、人を見ることでその人の詳細な情報が分かる”スキル”を持つ人などが協力してくれるらしい。
いよいよ本物のアリスちゃん捜索が始まる
この世界の占い師は全員の”スキル”が”占い”であり、その”スキル”を極めるほど、占い成功率が上がるが、
成功率100%どころか50%にまで達することでさえ、かなり困難である。




