30,授業
入学式の次の日は早速授業が始まった。
確かに授業の他にすることはあまり思いつかないが、いきなりか…っとオレは少し嘆いている。
ちなみにルーグラン校の時間割は、一限目が”スキル”や世界のことについての、椅子に座るタイプの授業。後は全部訓練だ。授業は8:30から始まって18:30までずっとだ。(流石に合間に休憩はあるが)普通にしんどい…
まずは一限目の勉強だ。今日は”スキル”についてするそうだ。担当教師は、担任のマイク先生。
「まずは、もうみんな知ってるだろうけど、”スキル”というのは早くに分かることで、より成長しやすくなります。それと努力と才能も大切です。このクラスには、それらが全て揃っていると判断された者しか集まらない、言わば選別です。
もっと早くから入学させることは可能ですが、それだと判断が難しい場合が多く、10歳というのは、それが顕著に現れてくるのにちょうど良い時期なのです。だから我が校の入学は10歳からなのです。」
っという風な感じで、マイク先生はどうやら生徒に話しかけるタイプの先生ではなく、一人で授業を進めるタイプの先生らしい。それでも、自分が知りたいことだし、十分に睡眠をとっているのでちっとも眠たくならない。
さらに先生は言葉を続ける。
最初の方は知っていることばかりだったので、オレが初めて知ったことを抜粋しよう。
「皆さんは、”スキル”と身体能力は掛け算のようなものと教えられてきたかも知れません。しかし、それは正確ではありません。確かに、最初のうちはその通りなのですが、身体能力には限界があり、”スキル”にはそれが無いのです。なので自分の強さを極めれば極める程、”スキル”が大切になってきます。よく”スキル”を限界まで極めた者として、超越者が挙げられますが、超越者とは、正確には”スキル”を限界まで極めた者ではなく、脳のスキレイトが一定以上の大きさに達した者のことを言います。」
スキレイトとは、脳にある”スキル”を司るとされているところだ。”スキル”はそのスキレイトが大きい程、強い威力を出す。だから超越者はみんな頭が大きい…というわけではなく、スキレイトは脳を侵食するタイプで、頭の大きさに関係はない。ちなみに侵食するからと言って、侵食された部分の脳が機能しなくなることはなく、スキレイトに侵食された状態で、正常に機能するらしい。
だが、スキレイトに侵食されにくい部分もあり、超越者とは、その部分を侵食した者のことを言うらしい。
さらに先生は続ける。
「ちなみに、”スキル”を強くすることは、鍛錬だけではありません。その”スキル”のことを勉強することでも、スキレイトが脳を侵食することも分かっています。例えば、ルビアなら炎の性質などを勉強するということです。まあ鍛錬の方がより早く侵食しますが、
それと、あまり教えたくはないのですが、脳に多大な負荷をかけ、脳が弱った状態になることで、スキレイトが侵食することもあります。ただ、これをすると精神崩壊してしまったりと、廃人同様になったりします。過去に実験で、そうなってしまった人も沢山います。なので決して実践しようとすることのないように。これをすると、まず今までの生活とは無縁な生活をすることになるでしょうし、死に至ることも多々あります。
まあしようと思って出来ることではありませんが…」
なんか急に重要なことを聞いた気がする。
まあでも、言ってたことをまとめたらつまりは、
「今まで通りに”スキル”の修行をし、空き時間に自分の”スキル”の性質について勉強するのもいいぞ!」
ってことだろう。
授業の終わりらへんで、
「何か質問したいことはありますか?」
っと先生が聞くと、どこからか質問が出てきた。
内容は、試験の時に言われた、”スキル”を使ったかどうか分かる装置についてだ。
確かに、それはオレも気になっていたが、すっかり忘れてしまっていた。
「それは、正確にはスキル波検知装置というものです。
“スキル”を使うとき、人は無意識に波を出しているんです。それを検知することで、誰が”スキル”を使ったか分かるわけです。
折角なので、他にも似たような装置を紹介しておきましょう。例えば、部分的脳性麻痺装置。
この装置は、脳の一部を麻痺させることで、”スキル”を使えなくさせることが出来ます。これだけ聞くと、かなり強そうに感じられますが、そんなことはありません。この装置は、ヘルメットのようなものをつけることでやっと発動出来る状態になるからです。戦闘中につけることはまず不可能でしょう。
この装置は、主に刑務所などで使われたりします。」
ここで、チャイムが鳴った。ということで、授業は終わりだ。いくら自分が知りたいことと言っても、一限ずっと拘束されるのは流石にきついな。
その代わりにかなり多くのことを学べた気がする。




