3,異世界に転生!?(2)
「オレはこれからどうなるんですか?」
ラファエルは真面目な顔になって答えた。
「あなたにはもう一度人生を歩んでもらいます。」
ラファエルは初めて丁寧な口調になった。その雰囲気に飲まれたのか、オレは何も答えずにラファエルの言葉の続きを聞いた。
「魂っていうのはこの世にある程度満足出来ないと成仏出来ないのです、当然あなたの魂は全然満足出来てない。つまりあなたは成仏するためにもう一度人生を歩まなければいけません。」
オレは会話を続けた。
「オレはもう生きたくありません。オレに関わったせいで周りの人達がみんな死んでいくから…」
「さっきも言ったけどそれはあなたの気のせいよ、偶然不運だっただけ。それに、あなたがいたことで救われた人間も沢山いるのよ。」
ラファエルは優しい口調に戻っていた。
オレは、そんなわけない、という顔でラファエルを見た。
「嘘じゃないよ。例えばあなたの学校の友達、あなたの叔父とその家族、他にも沢山いるよ。」
「仮にそうだとしても、オレはもう怖くて誰とも関われないと思います。そんな状態で転生しても、仕方なくないですか?」
ラファエルはキョトンとした顔で答えた。
「それは大丈夫よ。あなたの記憶は消去するから。」
「え?」
「え?ってそりゃ、精神年齢20代の赤ちゃんがいたら怖いでしょ?」
確かに言われてみればそうだが、それはもはやオレの魂じゃなくないか?っと思った。
そう思っていると、ラファエルが答えた。
「大丈夫よ、記憶を消してもあなたの魂はあなたの魂よ。あなたは生まれた時から記憶喪失の状態だと思えば良いわ。まあ滅多に思い出すことがないから、記憶喪失よりよっぽど酷いけどね。」
そうか、心が読めるんだったな
「思い出すこともあるんですか?」
「前世の記憶を持った人とかいたでしょ?その人がそうよ」
ラファエルとの会話は続いた。
「魂には強いトラウマなどの記憶は刻まれているのよ。まあ、それもデジャブ程度にしかならないけどね。」
「ていうか、そもそも記憶を消すならオレをここに呼ぶ必要はなかったんじゃないですか?どうせ記憶は消されるんだし…」
「…実は、どうしても生きたくないという場合は、亡霊として一生生きてきくという選択も出来たのよ。私はあなたにそうしてほしくなかったから言わなかったけど…」
確かに一生生きるよりは、記憶を消して生まれ変わった方がいいな、と思った。
するとラファエルはニコっと笑って、
「じゃあ転生させていい?」と聞いてきた。
そうだ心が読めるんだった。
オレは「はい」と答えた。亡霊になるのは嫌だったので、消去法だが、、、
すると、ラファエルはすぐに準備に取り掛かった。
「じゃあ今からあなたを転生させます。あ、それと言う機会がなかったから今言うけど、あなたがこれから行く世界はあなたがいた世界とは違うわよ。”スキル”とか呼ばれる特殊能力がある世界だから。」
「は?」
「まあ記憶が消えるし別にいいでしょ。それでは、
あなたの来世が良い人生であることを願います。」
こうしてオレ、石田隆也は転生した。