27,ティアラの家へ
オレ達はそういうわけでティアラの家へと招かれた。
今はティアラの家へと向かう最中なのだが、早速女子達は仲良くなっているようで、さっきからずっと話している。もちろん別に男子が仲良くないというわけではなく、こっちもちょっとは話しているんだが、なぜ初対面であそこまで会話が続くのか不思議でならない。
「さあ、着いたよ!!」
しばらくすると、ティアラの家へと着いた。
大きさはオレの家と同じぐらいで普通だ。本当にこの中に9人も入っていいのだろうか。
そうオレはちょっと遠慮していたのだが、ティアラのお母さんが快く歓迎してくれたので、上がらせてもらうことにした。
ティアラの部屋に入る。9人も入るのでかなり狭いと思っていたが、案外余裕だ。部屋の内装はThe女の子って感じで、少し良い匂いがする…
「お母さん優しそうな人だね。」
「全然だよ。人前だからなだけ。」
そんな会話がされているが、それを言っているティアラの後ろでお母さんが笑顔でお菓子を持ってきてくれている。
「ひえっ!!」
ティアラがビックリしてお母さんを見るが、お母さんはただ優しい笑顔なだけで、オレ達に優しくお菓子をくれて、そのまま出ていった。確かに人前だから優しそうな感じだな…怖そう…
「……じゃ、じゃあ何する?色々あるよ?トランプとか?」
ティアラが冷や汗を流しながらそう言う。
さっきまずは自己紹介をもっとキチンとしよう!っとか言ってたのだが、完全に忘れてるのか?
言おうと思ったが、ティアラが早く雰囲気を変えたいのか、すでにトランプを持ってきていたので、言えなかった。おそらく他のみんなもそうだろう。
「そ、そうだな。大勢でやると楽しいよなトランプって。」
イドラが同調し、完全にトランプをする流れになった。まあ別に良いんだが。
ルールはババ抜きだ。53枚を9人で分けるので、8人が6枚で、1人だけ5枚なのだが、オレがその1人になり、しかも2枚揃ったのが2組あったので、残りはジョーカー一つになった。
「えっ?もう一枚なのか!?」
「流石はオレ様だな!!」
「いやただの運だろ!!!」
みたいな会話が交わされたり、他にも色々とハプニングがあったりして、結構盛り上がった。
初めは、出会ったばかりだったのでそれなりの距離感があり、実はあまり乗り気ではなかったのだが、やはり実際に遊んでみると楽しい。一気に距離感が縮まった気がした。
他にも、外で遊んだり、ボードゲームをしたりと本当に楽しかった。
そろそろ今日の遊びも終わりを迎えようとしていて、最後にみんなで終わりムードになりながら話している。
日常の話をしたり、親の話をしたり…
「そう言えば、ティアラのお父さんって何してる人なの?」
ティアラがそう聞かれ、一瞬黙る。そしてすぐに、
「い、医者だよ。精神科医。結構遠いところで働いてて、帰ってくるのいつも深夜なんだけど…」
「へ〜遠いところってどこ〜?」
「えーと、北の方のーーー」
ティアラは不自然な笑顔を浮かべている。お父さんのことで何かあったのか?
おそらくそのことにイドラも気付いたのだろう。上手い感じに話題を変える。
まあ何があったか気になるが、敢えて触れないでおくか。
オレはトイレを借りようと思って立ち上がり、部屋を出ていった。すると、少し煙たい匂いがした気がした。人様の家に対して、余計なお世話かもしれないが、万が一火事とかだったら大変だ、と思いオレは匂いのする方へ向かう。
すると、仏壇に線香がたっていた。誰のだろうと思い、少し顔を覗くとまだ若い男性だった。しかもそんなに何年も前の写真というわけではない。まさか、っと思いオレは名前を探す。
すると…レミーレインの名前が入っていた…
(まさか、ティアラのお父さん!?)
さっきは場の空気を凍らせないように、気をつかって嘘でもついたのか?
優しいティアラらしいが、こういうことは正直に言っといたほうが、後々のために良いと思うけどな…
(まあ、余計なお世話か…)
オレはそう思いトイレに行こうとした。
するとその時、仏壇の方から微かな音がした。
「えっ?」オレは驚きで自然に声が漏れていた。




