24,合格発表
ルーグラン校の合格発表は、入学試験の2日後だ。つまり明日だ。オレはそれまではゆっくりすることにした。
今は、父と母と食事をとっている。
「そう言えば、今年の受験生の中にはアドランス家とオーケニアス家の子供がいたそうだぞ。」
アドランス家とオーケニアス家とは、ここクラントにいる有名な貴族だ。クラントの貴族には、戦争への貢献度に合わせて領地が与えられる。それに固執し、幼少期から生まれた子供を軍人として育てる貴族も多い。
アドランス家とオーケニアス家は、その中で一番有名な貴族だ。同じぐらいの子供がいるとは聞いていたが、まさか同年代だったとは。
「やっぱり強いのかな?ちょっと戦ってみたいな。」
ウェアとアン以外でオレ達と同等レベルの子供とは会ったことがないので非常に気になる。
「リエルとならどっちの方が強いんだろうな。正直父さんにもあそこの家のことはよく分からない。まあおそらくSクラスに入れられるだろうし、お前と同じクラスになるんじゃないか?」
ルーグラン校は、入学試験の成績によってクラスを分けられる。最高クラスがSクラスだ。
どうやら父はオレがSクラスになることを確信しているようだ。
「まあ入学式で、ちょっと挨拶でもしとこうかな。」
正直父さんの言うSクラスがどれくらいのものか分からないので、Sクラスかどうかは分からないが、一応オレは受かることは確信している。試験であんなに無双したしな。
そんな感じで今日は終わり、明日の合格発表を迎えた。
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合格発表はルーグラン校の試験の日に最初に集まった広場でされるらしい。今日は両親も同伴だ。
ウェアとアンも、オレ達と同じく両親同伴ですでに来ていた。親同士が挨拶している。
「試験の日も思ったけど、なんでリエルってそんなに来るの遅いの?」
「いや、別に遅くないだろ?まだ30分前だぞ?逆にお前達が早すぎるんだよ。」
みたいな会話をしていると、すぐに時間が過ぎていった。
いよいよ合格発表の時間である。
広場にある大きい掲示板の前に、教師がおそらく合格者リストの紙であろう大きい紙を貼りにきた。
「それでは、試験の結果を発表したいと思います。」
そう言って一礼してから、大きい紙を貼り始める。
オレ達はすぐに自分の名前を探し始めた。受かることを確信していても、やはりこう言うのは探してしまう。
「あった!」
アンがそう言って指差した方向をオレ達は同時に見ると、
1378 リエル・アイルディア Sクラス
1379 アン・ラティーナ Sクラス
1380 ウェア・エリフィンダ Sクラス
っと書かれてあった。
「やったぁーSクラスだーー!!」
アンが大声でそう叫び、かなり注目を浴びてしまう。
まあ試験の時に散々目立ったんだし、これぐらいならいいか。
オレは今、ただ笑顔なだけだが、実はアンと同じ反応をしたいぐらい嬉しいのだ。おそらくウェアもだろう。
「よくやった!!」
父達がそう褒めてくれる。
この後は、みんなでどっかに食べに行くことになった。
落ち着いてきたところで、オレ達は他のSクラス合格者を探してみる。すると、
502 シトラ・オーケニアス Sクラス
2432 ルビア・アドランス Sクラス
2674 ティアラ・レミーレイン Sクラス
2903 イリア・パーカーヘイル Sクラス
4089 ソラ・エリュシオン Sクラス
4432 イドラ・スーフェミラン Sクラス
っと書かれてあった。オレ達を含めて全部で9人だな。
試験の時に規格外と言われていた人全員か。
やはりアドランス家とオーケニアス家の子供は入っていたな。
ちなみに、総合格者数は235名。やはり受験者の5%ぐらいだったようだ。
オレはトイレに行くためにみんなから少し離れる。
その時、オレはどこからか視線を感じる。
(どこだ?)
オレは周りを見回す。しかし視線の正体は分からなかった。オレが視線に気付いたことに気付き、すぐに気配を消したのか?
もしかしたらSクラスの誰かだろうか。それとも教師?はたまた別の誰か?
(これがオレ達がこれから入っていく世界か…)
オレはワクワクが止まらなかった。
そんなリエルを遠くから見る少女。
「あれが、同じクラスの?」
「はい。リエル・アイルディアという少年です。シトラ様。」
「案外普通の子なのね。試験の日の時に聞いた印象とは随分と違うわ。まあルビアよりは良い子っぽいわね。
さあ、他の子も見ておくわよ。偵察のためにね。」
「流石はシトラ様。今から学校に向けて備えておくとは、感服いたします。」
シトラは次のSクラス合格者を見にいく。
(あとはどんな子がいるのかな?入学式まで待てないよ…)
彼女はただ、楽しみで仕方ないだけであった…




