23,入学試験(14)
オレ達は最初の広場へ戻り、次の試験を待っている。
正直、昨日までは不安だったが、今日のオレ達の無双ぶりを見ているとオレ達が落ちることはないように思える。だがまあ念の為に、今復習しているところだ。
「ガンクーラの内乱っていつだっけ?」
「そんなのも知らないの?常識だよ?」
「えっと、たしか70年くらい前だ。」
ガンクーラの内乱とは、この国クラントで起きた内乱のことだ。
今、この国がある大陸には、この国を含めて大きい国は全部で3つある。
まずは我が国クラント、そして敵国ヴァルランダ、そして中立国アルタミラ。
70年前までは、この大陸での大きい国は大国クラントとアルタミラの2つしかなかったのだが、70年前にクラントのガンクーラという都市で内乱が起こり、クラントが2つに分かれた。
その内乱の理由は、(おそらくオレがバカだから)分からない。
オレ達は試験に呼ばれた。ペーパーテストだ。
すると次は、受験生全員が一気に受けるようだ。
まあそりゃそうか。ペーパーテストだし。
オレ達はどこかの教室に案内された。普通の教室よりは広く、60人は余裕で入れそうだ。
オレ達が席に着くと、教師が教壇の前に立ちテストの説明をする。まあ今回は普通の試験と変わらないような説明なので、説明は大雑把にさせてもらおう。
試験時間は45分で、範囲は主にヴァルランダ関連だ。
いよいよ教師が開始の合図を出す。
オレは早速一問目に目を通す。すると、皆目見当もつかない問題ばかりであった…
とりあえずオレが分かった問題だけでも紹介しておこう。
問:今、ヴァルランダとの関係が悪化している理由を簡潔に答えよ。
これはオレが最初に勉強したところだ。
この問題の答えは、ヴァイシオン王家暗殺事件が起こったからだ。
ヴァイシオン家は代々ヴァルランダに君臨する王族だ。2ヶ月程前、ヴァルランダ現国王の王妃と王子が何者かによって暗殺された。
ヴァルランダはそれをクラントの仕業と断定し、宣戦布告のようなことをしている。正直おかしいと思う。証拠もないのに決めつけ、しかも戦争とは…王は家族を失いおかしくなってしまったのだろうか?そんな奴が王として務まるのか?
まあとりあえず次の問いへ移ろう。
問:ヴァルランダ軍にいる全ての超越者の名前と”スキル”をそれぞれ答えよ。
これは結構簡単だ。
超越者は、たとえ他国だったとしても有名になるぐらい凄い存在なのだ。そんな人ぐらい、流石にチェックしている。
この問題の答えは、
“身体強化”の超越者 ロード・デイバード
“電気”の超越者 カミナ・ポールドット
“鳥”の超越者 レオラン・カラドリウス
我が国クラントと同じく、全員で3人だ。
他には、
問:ガンクーラの内乱は当時の都市名で、なんという名前であったか、また、現在はなんという名前の都市に変わっているか答えよ。
などなど、他にはヴァルランダの山脈名や色々なことを答えた。そしてようやくテストが終わりを迎える。
多分半分くらいの点数は取れたんじゃないかなーぐらいの出来であったが、やっと試験が終わったという喜びの方が大きく、オレのテンションは上がっていた。
なんせ、もう外はそれなりに暗く、電灯無しではほぼ見えないぐらいに暗かったからな。
「やっと終わったな、テストどうだった?リエル。」っとウェアが聞いてくる。バカ同士で傷の舐め合いをしたいのだろうか。
「半分くらいだな、点数を取らせる気満々の問題が結構あって良かった。」
「ちなみに私はバッチリだよ。もしかしたら満点あるかもってレベルで解けた!!」っと聞いてもないのにアンが自慢してくる。
すると、教師から帰って良いとの許可が降りた。
オレ達は余程早く家に帰りたかったのか、速攻で学校の門を出て家に帰った。
「ただいま。」
そうオレが言うと、両親が迎えてくれる。
早速、試験についてどうだったかなどを聞かれ、オレは(ペーパーテスト以外)バッチリ、っと答えた。
長かった試験はようやく終わり、疲れ果てたのか、オレは両親との話を終えると、ご飯も食べずに直ぐに眠ってしまった。
やっと入学試験が終わった…




