21,入学試験(12)
試験開始から3分ぐらい経っただろうか。
リングに残る受験生は、早くも半分くらいになっていた。実はオレも結構参加している。もう15人くらいは落としただろうか。もう少し落としとくか、とか考えていたら人溜まりを見つける。
なんだろう、と見に行くと、アンがその人溜まりの全員に狙われているようだ。オレは、助けに行くか迷ったが、まあ人数が減るならいいか、と思い無視した。ちなみにオレが助けるか迷ったのはアンの方ではなく人溜まりの方だ。確かに強い敵には数で攻めるのは有効だが、おそらく今回の試験の時に出来た即興のチーム。連携もくそもない。それにチームを組んではいるが、互いに警戒し合っているようだ。あれならアンが負けるはずがないな。
ウェアはひたすらに受験生を落とし続けている。しかも、”スキル”を使わずに。普通の人が見たら、ただの舐めプだが、おそらくオレとアンとの対決に向けてだな。”スキル”というのは、その”スキル”にもよるが、使うだけで体力をかなり消費する。その消費量は修行によって減るが、やはり節約するのが一番いい。実はオレもさっきから節約している。
受験生が残り10人となった。
やはり、残ったのは総合的に強い者になった。オレとアンとウェアはもちろん、他にも、他の試験でオレ達の次に優秀だった者ばかりだ。その者達を、ウェアは1人ずつ落としていく狙いらしい。流石に瞬殺というわけにはいかず、(“スキル”を使っていないので)それなりに手こずってはいるが、まあ後少しすればウェアが勝つだろうな。
オレとアンもウェアを見習って1人ずつ落としていく。
最終的に、それぞれ2人ずつ落としてオレとアンとウェアともう1人が残った。
そして、最後の1人が諦めたような顔で
「ははは、最後まで残れたな。」っと言って自ら場外へ出ていった。
こうしてオレ達3人が最終的に残った。
教師と脱落した受験生が全員、オレ達に注目している。
するとすぐに、ウェアがオレの背後に”瞬間移動”してオレの背中に蹴りを食らわせる。オレはその攻撃を受けて、”サイコキネシス”で受け身をとる。オレはすぐにウェアに反撃しようと、ウェアの動きを鈍らせにかかるが、ウェアがすぐに”瞬間移動”で逃げた。
「ヒットアンドアウェイってやつだ!」
そう得意気に言っているのがなんか腹たつ。ただ逃げてるだけじゃないか!!
アンもオレと同じようなことをされている。
「おい、ウェア!
提案だ。まずはアンから先に倒さないか?」
「いいねそれ。」
「は?」
人数が多いと、情報量が多くて精神力がかなり消費される。なのでひとまずは落とせそうな敵を落とすことにした。
当然、アンは不満そうな顔だが、ウェアはノリノリだ。アンとウェアが今戦っている。
オレは、そのウェアの援護に、アンの動きを少し鈍らせた。
アンは力もあるし、オレから距離が離れているので、あまり大きく動きを制限出来ないので、たいしたフォローではないように見えるが、戦いとはちょっとのすきで決まることもよくある。特に拮抗した者同士では。
そのまま、アンが押されて、場外へ落ちた。
当然の成り行きだ。
外からアンが鬼の形相で睨んでいるが、今は無視しよう。
オレは、あわよくばと思って後ろからウェアを攻撃するが、”瞬間移動”で逃げられた。
「今日で一番楽しそうな試験だな。」っとウェアがオレを見て言う。そして臨戦体制へ。
「ああ、そうだな。」っとオレは短く答え、臨戦体制に入る。
総合力(3)の試験 残り2人!!




