20,入学試験(11)
いよいよ試験が始まった。
オレとアンとウェアは、ひとまずは様子見ということで動かないが、他の人はオレ達3人を避けつつ戦っているようだ。
開始からすでに30秒以上経ったが、まだ誰もオレに向かって来ない。流石に何もしないわけにはいかないので、人の多いところへ移動することにした。
オレはゆっくりと歩いていく。
すると、みんなすぐにオレが歩いて来ていることに気づき、逃げ惑う者や動かない者やヤケになってオレに向かって来る者など様々だ。
オレはその、向かって来る者から倒すことにした。大体5人ぐらいだ。たとえ相手が非力であったとしても、流石に5人同時に動きを止めることは、今のオレには出来ないので、まずは動きを鈍らせるだけにした。それと同時にその内2人の腹にパンチを繰り出し、その2人が倒れ込む。今の弱った状態の2人なら、十分操れるのでそのまま場外へ。
他の3人は、動きが鈍りつつもオレに向かって来る。
オレはさっきの2人と同様にして、2人を場外へ飛ばすと、残り1人になったので、オレは動きを止めようとしたが、相手は身体能力の強化を結構していたらしく、オレの全力の”サイコキネシス”下でもかなり動いている。そう言えばこの相手は、さっきの身体能力の試験で10位ぐらいだった男だ。まあかなり動けると言っても、普通の状態から見れば全然遅いが。
「おい、さっきから見下してるような目で見てんじゃねぇよ。」
オレはそんな目で見ていたつもりは全くなかったのだが、相手にはそう見えたのか、オレにそんなことを言ってきた。
「そんなつもりはなかったんだが、そう見えたなら謝るよ。」
「謝ってる感じがしないぞ!本当はまだオレのこと見下してるんだろ?」
「そんなことはない。」
「じゃあオレとお前でどっちの方が強いと思う?」
「…」
確かにそう言われると…これは見下してるということなのか?本当にそんなつもりはなかったのだが…
すると
「ほらな?やっぱり見下してるじゃねーか。
お前らはただ”スキル”が早くに分かったってだけで強くなっただけだ。”スキル”に頼ってるだけの奴らなんだぞ。調子に乗るな!!」
っとまで言ってきた。流石に普段とても温厚なオレでも頭にくる。するとオレは、”サイコキネシス”を解除する。
相手が少し驚いた顔を見せる。
「そんなに言うなら、”スキル”は使わないでやるから来いよ。」っと手で煽ってオレが言った。
「いいのかよ?”スキル”頼みのお前が”スキル”を使わなくて。まあいい、お前がそう言うならこっちも”スキル”を使わないでやるよ。”スキル”無しの真剣勝負だ。負けて後悔すんじゃねーぞ?」
っと、オレが”スキル”を使わないなら余裕とでも言わんばかりの顔を見せる。
(こいつ…もしかしてさっきの身体能力試験でオレの方が成績上なのを忘れてるのか?)
っと思っていると、早速突っ込んできた。怒りと油断の感情に支配された者というのは分かりやすい限りだ。
オレはそれを軽く避けて蹴りを食らわせる。
「グッッ…」
っと痛そうな反応を見せる。オレを少し笑って見せた。
すると、今度は怒りが頂点まで達したのか”スキル”を使ってきた。奴の”スキル”は”刀”だ。流石のオレもこれで斬られたら致命傷じゃあすまないかもな。そう思って、教師が止めようとするのが見えたが、オレはそれを手で制す。しかし、それでも止めようとしてくる。まあそうか、こんなので万が一受験生が死んだりしたら、学校に一生の泥を塗ることになるしな。
なので、オレは教師が相手を止めるまでに決着をつけることにした。
まず相手の間合いまで近づき、刀を振らせる。そんな見え見えの攻撃を、オレは軽く避けてから、相手の顔面にパンチをした。その痛みで、相手は地面に転がってしまい、オレはその上からさらに顔面にパンチをした。
もちろん、ギリギリ相手の意識が飛ばないようにしてある。
すると、教師が少し驚いた様子を見せて、帰っていく。
それを見てオレは、相手の髪の毛を掴んで、自分が思う最大限の煽り顔をかましてやった。
そしてそのまま場外へ。
それにしても、少し大人気なかったかな(まだ子供だけど)、とオレは少し反省している。




