17,入学試験(8)
オレ達は広場へ戻った。
流石にさっきの試験は疲れた。オレとウェアはぐったりしている。アンだけはバリバリに元気だが。
ここでオレ達は昼休憩をとることになった。
次の試験に向けて、3人で食べながら話している。
「次の試験ってどんなだっけ?」
「”スキル”の試験だな。まあもうさっきの試験みたいにしんどいのは嫌だな。”スキル”を限界まで使うとかじゃないことを願うわ。」
それにしても、やはり母のご飯は美味しい。癒される。
しばらくすると、オレ達は第二訓練所へ行くように言われた。
そこに着くと、それは大きいグラウンドだった。
また前に立って教師が説明する。
「今回の試験は”スキル”の試験です。我々は皆さんの”スキル”を受験の申し込みを受ける際に把握させていただいております。したがって、その”スキル”がどの程度のものなのかを測らしてもらいます。なお、どう測るのかは、こちらが提示した課題を受けて下さればそれで結構です。」
限界まで使うとかじゃなくて本当に良かった。
オレ達は、”スキル”を測るための列に並んだ。
「どういう風に目立つ?」
「もう十分じゃないか?オレ達はただでさえ注目を浴びてるんだから、今回はシンプルに課題をこなすだけで大丈夫だろう。」
「でも念には念をだろ。」
「まあじゃあ目立てたら目立つってぐらいにしとこう。」
という会話をウェアとしていると、いよいよオレの番が来た。
「君は”サイコキネシス”だね。じゃああそこに見える岩があるだろ?それをここまで持ってきてほしい。」
っと教師に言われた。その岩というのは25mぐらい先にある、直径2mぐらいの岩だ。オレはこのレベルなら8歳の時には出来るようになっていたのだが…
そこで、良い目立つ方法を思いついた。
オレは、教師が指差した方向にある全ての岩を同時に持ってこれるだけ持って来た。それは、かなり小さいサイズのものまで…それら全て含めて、100はゆうに超える。
「すみません。どの岩か分からなかったもので、」
「あ、ああ。」
教師と後ろの生徒達が驚いている。
オレの次はアンの番だ。
「…君は”再生”だね。悪いけど、少し傷つけさせてもらうよ。その再生速度を見たいからね。」
そう言って教師は、遠慮気味にアンの腕をナイフで切ろうとする。すると、アンが教師のナイフを取り上げて、
「大丈夫ですよ。このくらい。」
そう言ってアンは、自分のお腹にナイフを刺した。
どこかから悲鳴が上がる。
しかし、アンはすぐにナイフを抜いて”再生”し、
「これで良いですか?」
っと何事も無かったように教師に聞いた。
「……ああ、」っと教師がオレの時と似たような反応を見せる。
「何だよ。お前「目立って合格大作戦」に結構ノリノリじゃないか。」
「勘違いしないで。自分の”スキル”を低く見られてる気がしてイラって来ただけよ。でも辞めときゃよかった。ちょっと服に血がついちゃった。」
という風な会話をアンと交わす。
次はウェアの番だ。
「……君は”瞬間移動”だね。じゃああの50m先の白い線が見えるかな。あそこまで”瞬間移動”してほしい。」
「…はい。」
っと言ってウェアが”瞬間移動”した。
そしてすぐに”瞬間移動”で戻って来た。
「…これで良いですか?」
「うん。もう大丈夫だよ。」
こんな感じでウェアが戻って来た。ウェアならもっと派手にするだろうと思っていたが…
「何であれだけなの?」アンがウェアに聞く。
「…目立つ方法が思いつかなかったから。」
「50mって言われても、間違えて120m先に飛びました。とかにすれば良かったんじゃね?」
オレがそう言うと、
「それはオレも考えたけど、”瞬間移動”って移動したい場所に正確に移動するのも実は結構難しいんだよ。だから、間違えて移動したってなったら、印象悪くなるかなぁって。」
「…まあそれなら、ウェアは50m先に正確に飛んだってことだろ?なら課題は満点なんだから大丈夫だろ。」
それでもウェアは不満そうにしている。
こんな感じで3次試験が終了した。




