13,入学試験(4)
オレ達は第三訓練所に着いた。
大きさは第四訓練所より大きかったが建物ではなく、山だった。この山はルーグラン校が所有している、グロス山というものだ。標高は100mぐらいだが、横に長い感じだな。一体ここでどんな試験をするのだろうか。
教師が前に立って説明をする。
「皆さんには、この腕輪を付けて山の中に入っていただきます。」
っと言って、金色の細い腕輪を見せた。
「この腕輪は、ちょっとの衝撃では壊れませんが、大きい衝撃を与えるとすぐに壊れます。皆さんはこの腕輪を壊さないで、山の中に1時間の間いてもらいます。この腕輪を壊してしまうと、失格となります。」
これだけを聞くと、すごく楽そうな試験なのだが、やはりそんな訳はない。
「ただし、こちらから鬼1人を山の中に潜入させます。
ガメラ・フォート先生です。」
っと言って、いかにも戦闘タイプの男の先生を紹介した。筋肉は引き締まっていて、大柄な男だ。
「鬼というのは、皆さんの腕輪を壊しにかかる者のことです。皆さんは、この鬼から逃げるか、必要なら反撃しても構いません。」
とてもじゃないが、反撃など出来そうにない。
冗談のつもりだろうか。
「つまり、単純に言ってしまえば、
1,渡された腕輪を1時間の間守ること。
2,鬼のフォート先生から逃げる、もしくは反撃すること。
ということです。
また、この試験の結果も、直接合格不合格には影響しませんので、ご注意下さい。」
次に、フォート先生が前に立った。
「私がガメラ・フォートという。私は鬼であると同時に審査官でもある。それに、私も君達と同じ腕輪をしている。この腕輪が壊れれば、私もアウトだ。したがって、私に対する反撃は大いに結構。私を殺す気でかかってきなさい。それと、私の”スキル”は”探知”だ。これによって君らの居場所はすぐに分かる。隠れるのはオススメしないぞ。」
“スキル”はバラさない方が試験になるんじゃ…と思ったが、おそらく情報の流出による不公平を無くすためだろう。
オレ達はこの試験の前に一度広場に戻ったが、その時にフォート先生の”スキル”がバラされないとは限らない。
ちなみに、フォート先生の腕輪を直接”スキル”で壊すのは禁止らしい。オレならフォート先生の腕輪だけを”サイコキネシス”で操って壊すことが出来たのだが、禁止されてしまった。まあそれはそうか、壊すことに専門の”スキル”を持つ人がいたら、一瞬で試験が終わってしまう。
「このフォート先生の他にも、”千里眼”の”スキル”を持つ先生があなた達を審査しています。
それでは、そろそろ試験を始めたいと思います。」
いよいよ始まるのか。
それにしても、言ってしまえばこの試験って、受験者500人vs教師1人ってことだよな。流石はルーグラン校の教師だ。
「それでは、グロス山に入って下さい。10分後にフォート先生が入られます。フォート先生が入ってから、1時間を計測したいと思います。」
いよいよ2次試験が始まる。この試験でも出来るだけ好成績を収めて、ペーパーテストに備えないと…




