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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
世界統一編
120/121

120,降伏

グラムはアルタミラの王を探すため、謁見の間に来ていた。

するとそこに王が1人でいたのだが、何か違和感を感じる。

何というか、自分が見ている景色と気配が合わないのだ。

そもそも、王が1人でいること自体が違和感だが、、、

違和感を感じつつも、ひとまずは話しかけてみる。


「お前は王か?」


「そうだ。」


王は淡々とした口調で答えた。

王たる者、それが当然なのかもしれないが、恐怖やらで激しく動揺していてもおかしくないというのに、それが全く感じられない。グラムは再び違和感を感じた。

ここでグラムは1つの可能性に気づいた。

グラムは王に近づくと、王に手で触れてみる。

すると、グラムの手は王を貫通し奥の壁に触れた。


「やはりか…クリス、お前の仕業だな。」


グラムはここで、”幻覚”の超越者クリスによる罠だと気づく。そして視覚には頼れないということで目を閉じた。

“聖剣”があればいくつか対処法もあったのだが、今は結界を張るために使ってしまっている。”聖剣”のないグラムは、ただ身体能力が高くて、回復力が高くて、感覚が優れているぐらいだ。

謁見の間には何の気配も感じなかったため、すぐにその場を後にした。


グラムはどうやって王を見つけようか悩んだ。

城内を探すだけとは言え、城内は広い。何の当てもなく気配だけで探していたらいつまで経っても見つからない。

それに城内の詳細な構造を知らないため尚更だ。

かと言って”聖剣”を元に戻せば、どこか遠くへ逃げられる恐れがある。

そんな時、悪魔の策が浮かんだ。




兵士が城内を見回りしている。

その兵士は、グラムが襲ってこないかと恐怖でいっぱいであるが、かと言って任務を放棄するわけにはいかないので、勇気を振り絞って見回っている。

すると突然天井が崩れ、誰かが降りてきた。グラムだ。

しかも奇妙なことにずっと目を瞑っている。


「お前は王か?」


グラムがそう問う。

兵士は恐怖で何も発することが出来なかった。

だがグラムにはその反応だけでも十分な判断材料だった。

すぐに兵士は殺され、グラムはまた感覚を集中させる。

すると東方向に約20m先に僅かに歩く気配が感じられたので、すぐに最短距離でそこへ向かう。

これがグラムの考えた策だ。城内の人間を殺しまくる。

シンプルだが確実に王へ辿り着ける。


合計でこれを10回繰り返した時、グラムの元に王が自ら現れた。


「…我々は降伏する。」


これがこの戦争の静かな終わりだった。


あと少しで完結出来そうです。

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