118,侵入
ここはアルタミラの王城、エンヴェルフェン城
ここではアルタミラ兵の指揮を行っていた。
「状況は?」
アルタミラ兵の総指揮官であるロイがそう問う。
ロイは超越者では超越者に近い実力を持っている。
そのため、王の護衛の任務も担っている。
「オンカロでカミナとガイアが対峙している。
ツァンバル、シーテンでは新しく超越者となったリエルが確認されている。
ローズンではこちらがやや押され気味なため、全体で見れば戦況は悪いと言えるが、カミナがガイアを破り次第その戦況はひっくり返る。それにリオンもまだいるしな。」
答えたのは、同じく王の護衛の任務を担っている”幻覚”の超越者であるクリス・リィールバンだ。
「気がかりなのはクラント最強の戦力であるグラムだな。
未だに姿を現さない。」
2人が話していると、1人の兵士がロイの元へ報告にきた。
「大変です。リオンさんとの連絡が途絶えました。」
「なんだと、」
「どういうことだ?」
「それが…急に連絡がとれなくなり…
我々にもさっぱりです。
彼女が見つかるとは考えにくいですし、、」
ロイとクリスが焦り出す。
しかしそこへ、さらに悪い知らせが———
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ここはエンヴェルフェン城の正門
そこに1人の男が歩いていた。
「おい! 誰だ!? 止まれ!!」
門番がその男に槍を向けて叫ぶが、男はその言葉が全く聞こえていないように、歩調を全く変えず歩いている。
「おい!! これが見えないのか!?」
門番が槍を少し前に突き出す。
「見えてるよ。」
その男は門番の後ろから返事をした。
しかし、その門番はすでに意識を失っていた。
その男は城内をしばらく歩いてから”聖剣”を作り出すと、それを地面に突き刺した。すると、その”聖剣”を中心に城を十分に囲んだ結界が作られた。
その男の名はグラム、クラントの大将だった。




