112,狂戦士
「それで…どうしますか?」
大将室では、兵士がグラムにこの状況をどうするか聞く。
「ローズン平野いる兵に攻撃させろ。」
「えっ? それは幻影だってさっき…」
「一部はな、だが全てが幻影と決まったわけではない。
例えばもし、一部だけが幻影で、一部は幻影でなかった場合、兵を戻らせた場合がヤバい。
だからその時のために攻撃させるのだ。
兵を戻らせるのはそれからでも遅くはない。」
兵士は納得して、急いで連絡の準備をする。
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「なるほど、まず攻撃か。
確かにそれが最善だな。」
グラムからの連絡を受けた中将、バサランは1人で敵の元へと向かう。
“狂戦士化”の”スキル”を持つバサランは1人の方が戦いやすいのだ。
だんだんと敵の元まで近づいていくバサラン。
すると突然、何もないところから銃弾が飛んできた。
「やはりいたか、」
グラムはその銃弾を避け、そう呟くと仲間に信号を送った。
そして自分は”狂戦士化”の”スキル”を解放する。
獣のような雄叫びをあげ、バサランは跳躍する構えを見せた。
次の瞬間、驚異的なスピードで前方へ突進する。
すると、バサランの視界が急に変わる。
さっきまで見えていた敵の姿は見えず、その代わりに新たな敵が見えた。
「なるほど、壁を貼るタイプの幻影だったか、」
その新たな敵は恐怖で叫びながら銃をバサランに乱射する。
しかし、狂戦士となったバサランには普通の銃弾など痛くも痒くもない。
バサランは見える限りの敵を蹂躙する。
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その頃、リエル達がいるツァンバルでは、
「なに!? シーテンでも!?」
「はい。先程グラム大将から連絡がありました。
すぐに向かってくれとのことです。」
「…分かった。すぐに向かおう。
グラム大将のことだ。おそらく対策を考えてくれているだろう。
アン、行くぞ。」
「うん。」
そう言い、自分とアンの体を”サイコキネシス”で浮かして、体に悪影響が及ばない程度の最高速度で向かう。
すぐにシーテンに向かおうと思っていたが、シーテンに向かう途中の道にある2人の見慣れた人影を発見する。
すぐにアンも気づいたようだ。
「ティアラ! イドラ! 生きてたの!?」
その2人とは、アルタミラに潜入したが、行方不明となったティアラとイドラだった。




