111,囮
グラムの元にローズン平野だけでなく、オンカロにも大量の兵が現れたという情報が入ってきた。
「どういうことだ!?」
「いえ…それが…私共にもさっぱりで…」
そしてグラムが少し思案した後、ある可能性に気付く。
「まさか……
おい、ローズン平野へ連絡を繋げ!」
そしてその兵士が急いで連絡を繋ぐ。
するとローズン平野では中将がでた。
「こちらグラムだ。」
「これはグラム大将!
わざわざどういったご用件で。」
「悪いが早速確認してもらいたいことがある。」
「それは?」
「ローズン平野にいるアルタミラ兵を攻撃してみてくれ。」
「……まだ開戦まで時間がありますが?」
「向こうが先に破ったことだ。
オンカロでも大量の兵が現れた。」
「……は?」
「分かってる、お前の疑問は最もだ。
流石にそんなに大量の兵は有り得ない。
そこであくまで俺の予想だが———」
グラムが自分の予想を話す。
「……なるほど、確かにその可能性が高そうですね…
確かめてみます。」
そう言って中将は連絡を切った。
そして部下に命令をする。
「おい、アルタミラ兵に向かって大砲を放て。」
「…はい? まだ開戦してませんが…?」
困惑して中将に聞き直す部下。
それに対して真っ直ぐ目を見て答える。
「悪いが詳しく説明している暇はない。
早くしてくれ。」
「は、はい。」
部下が急いで準備する。
そして大砲が放たれた。
その大砲の球は、アルタミラ兵に向かって真っ直ぐ飛んでいき、そして爆発した。アルタミラ兵の混乱している様子がよく見える。
部下は、本当によかったのか? という目で中将を見る。
しかし中将はそれに目もくれず、爆発した地点を見ていた。
「クソッ やはりか…」
「? 何がです?」
「よく見てみろ。爆発の煙が兵士を貫通している。」
兵士は何を言っているのか分からず、目を凝らしてよく見てみるが、遠く離れているため、そんな細かなところまでは見えない。
「私にはよく見えませんが、つまりそれはどういうことなんですか?」
中将はかなり不機嫌な顔をして答える。
ただしそれは部下に向けられたものではなくアルタミラにだ。
「煙が貫通、つまりあの兵士達は幻影だ。」
「! それってつまり…」
「ああ…やられた。かなりの兵力を吸われてしまった……
“幻覚”の超越者 クリス・リィールバン…!!」




