108,操り人形
リオンはツァンバルの街行く人の頭に軽く触れる。
しかし触れられた人はそのまま何事もなかったかのように普通に街を歩いている。しかし、触れられたということはもうリオンの影響下に入ったということだ。
リオンが街を歩いていると、2人の男がリオンに絡んできた。いわゆるナンパというやつだ。
リオンはそんな男2人をつまらなそうに見た後、両手の人差し指で2人の額に指を当てた。するとその瞬間、男2人は何事もなかったかのように歩き出す。
そこで初めて、リオンは面白そうに笑った。
そしてリオンは、ツァンバルの宿で1日泊まり、もう1日だけ同じ作業を繰り返す。この日は開戦の前日だった。
そして午後3時、おそらくほとんどの兵士が出払ったであろうタイミングで、リオンはツァンバルから出た。
そして頭の中でこう命じたのだ。
「できる限り壊しまくれ。」と、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開戦の前日、リエル達はまだ軍本部内にいた。
ほとんどの兵士は、すでに戦地であるローズン平野へ行ってしまったが、リエル達はアルタミラの奇襲に備えて待機が命じられている。
「ねぇ、これってこのままアルタミラが奇襲とか仕掛けてこなかったら私達はどうしたらいいの?」
「開戦し次第、一部ローズン平野へ向かうらしい。
そして戦況に応じてさらに増援していくそうだ。」
リエル達全員が、もうすぐに迫った戦いに緊張している。
するとその時、リエル達がいた扉が急に開いた。
扉を開けたのは、グラム大将の秘書の人だ。
「大変です!!
大会議室へ!! すぐ!!」
何が起こったのか、そんなことを誰も聞かずに全員素早く大会議室へ移動した。
「ツァンバルで暴動が起きている。しかし、その暴動の理由が不明。しかも規模がバカでかい。
明らかに普通じゃない、敵の仕業とみて間違いないだろう。
しかも規模からしておそらく複数人によるもの、もしくは超越者。個人的には後者だと思っている。」
大会議室に集まった全員を前に、グラムが説明をする。
「超越者には超越者をぶつけるしかない。
リエル、行ってくれ。おそらくお前が一番適している。」
内容を聞かされた時から、自分の出番だと思っていたリエルは、驚くことなくスムーズに返事をする。
「はっ! 了解しました。」
指令を受け、すぐにワープゲートまで移動する。
一緒に行くのは、級友達であるアン、シトラ、ルビア、イリア、それと兵士が何人かだ。
準備が整い、リエル達はすぐにツァンバルへワープした。




