106,新たな希望
2ヶ月後、クラントはアルタミラから宣戦布告を受けていた。
今はその戦争が始まる約15日前で、その兵力の確認をしていた。
主要な人物が大会議室に集まる。
入っているのはキラー、リエル、中将以上の軍の人達だ。
今はグラムの秘書の人が1人立って進行している。
「アルタミラが戦争場所に指定したのは、約2週間後のローズン平野ですが、キラーさんの話を聞くと、それをずらして奇襲を仕掛けてくる可能性も十分あります。
よってここからは、いつどこで戦争が勃発してもすぐに対応できるようにするための最終会議です。」
秘書の人が地図を広げる。
「キラーさんの仲間であるレイさんという方がいるのですが、その方が瞬間移動の”スキル”を持ってまして、ここ軍本部にさえいれば、クラントのほぼ全ての場所に瞬間移動できるように準備が昨日整いました。
よって、まず、クラントの最高戦力となる皆様方には少なくともこれから約2週間、ここ軍本部に残ってもらいます。
そして、戦争が起こり次第現場に急行という形です。
その時に戦力を分散するか集中するかはその時次第です。」
「では次に敵の戦力の想定ですが、まず超越者が確定しているだけで2人います。”電気”の超越者カミナ、そして”幻覚”の超越者クリス。
前者については元ヴァルランダの超越者ということもあって、知っている方も多いでしょう。
ですが、後者については全くの謎です。
戦闘タイプかどうかは分かりませんが、間違いなく厄介なのはクリスの方でしょう。
そして超越者以外についてですが、こちらはおそらく子供達が厄介です。脳をいじられ、強制的に”スキル”を暴走させられてしまった子供達。しかもおそらくそれは元クラントの子供である可能性が高い。
そしてその子供達が助かる道は、死しかありません。
酷いことですが、迷わず殺してください。
これら以外は特に警戒する必要もないでしょう。
まあ戦力を隠している可能性も十分考えられますが。
対する我々は、新たな超越者リエル君を加え、超越者は3人。しかも中将クラスが11人。他にもキラーさん達の戦力もあります。」
ここで、グラム大将が進行を変わった。
「正直、楽な戦いではないだろう。敵の子供達がどれほどかは知らないが、恐ろしいのはその数。どれほどの子供達が犠牲になったのか想像もつかない。
しかし全く希望がないわけではない。
少なくとも新たに超越者となったリエル。
彼は新たな希望だ。
勝利の女神はこちらに微笑んでいる。
共にアルタミラを迎え撃ち、クラントの平和を守ろうではないか!!」
「おぉーーーーーーーー!!」
会議室が盛り上がった。




