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来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
105/121

105,説得

アンは一歩ずつリエルに向かって進んでいき、そして手が触れる距離まできた。

リエルはずっと、近づくなと言い続けている。

アンはそんなリエルを力いっぱい抱きしめた。


「だからどうして近づいちゃダメなの?」


「オレに近づくと不幸になるからだ!!

お前も…ウェアみたいに…」


リエルはアンの体を必死に引き剥がそうとかするが、寝起きで弱ったリエルの素の体では引き剥がせなかった。


「なんで?」


「なんでって…みんなそうだったから…」


「みんな?

みんなって誰?」


「えっ…」


そしてリエルはまた小さくブツブツ言った後に大きな声で言う。


「とにかくだ!

とにかくオレの側にいる人はみんな不幸になっちまうんだよ!

だからお前もオレから離れろ!!」


「私はリエルと一緒にいないと不幸になっちゃうよ!」


「…は?」


「そのままの意味だよ。

昔からずっとリエルとウェアと一緒にいたけど、2人のいない生活なんて考えられないくらい毎日が楽しかった。

それなのに、ウェアだけじゃなくて…リエルまでどっか行っちゃったら……私…」


「オレと一緒にいたら死ぬんだぞ?」


リエルの声は先程までの勢いは無くなっていて細くなっていた。


「リエルといれなかったら、私勝手に死んじゃうかもよ、」


アンの目は涙で覆われていた。

そしてリエルの頭の中では、どうやってアンを死なせないかを考えていた。しかしそれは、次のアンの言葉により払われる。


「だからさ、リエルが私を守ってよ。」


「…え?」


「リエルは私を死なせたくないんでしょ?

だったらリエルが私を守って、

誰がどこから私を殺しにきても大丈夫なようにさ。」


「いや…だから……」


「また、オレと一緒にいたら不幸になる、とか言い出す?

大丈夫だよ。さっきも言ったけど、リエルといたら私幸せだからさ。

それにさ、もしリエルと一緒にいて私が死んじゃったとしても、リエルの側で死ねるんなら幸せだよ。」


「…お前が死んだら、オレは悲しいぞ…」


アンはとびきりの笑顔でリエルに答える。


「あんたの幸せとかどうでもいいの、私の幸せ優先してくれるんじゃなかったの?

あと、それが嫌なら、私を全力で守ってね。

私が側にいる限り、絶対に幸せにしてあげる。」


それを聞いたリエルは少し吹き出した。


「むかしっから変わらないなお前は、

分かった。残りの人生全てかけてお前を守ってやる。」


リエルが初めて抱きしめ返した。

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