表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
来世は良い人生でありますように  作者: 三ki
アルタミラ編
103/121

103,実験

リエルを病院に連れて行ったアンは、リエルが起きるのを待っていた。リエルが再び暴走しないか不安な気持ちはあるが、そんなことよりリエルが心配で仕方なかった。

ちなみに、この病院は軍専門の病院で、中にいるのも、リエルが起きた時に危ないかもしれないという理由で少数だ。

ガラス越しにリエルがベットで眠っていて、反対側にアンが座っている。

するとそこにキラーとの話を終えたグラムが入ってきた。


「まだ目覚めてないのか?」


「はい、しかし命に別状はないようです。」


アンが目線をリエルからグラムに移す。


「それはよかった。それで、なぜ突然暴走を始めたか分かったのか?」


「…先生が言うには、脳が重大なダメージを受けて…”スキル”に侵食されてしまっているらしいです…」


グラムはある程度予測していたが、それでも信じられない様子だった。そして悲しい目をする。


「やはり覚醒はそれが原因か…となるとリエルはもう…廃人同様になってしまったというわけか…」


「先生が言うには、まだ何とも言い切れないらしいですよ。今回のは異例ですので…」


「脳に多大な負荷をかけて、”スキル”をパワーアップする方法自体は前々からある。が、それは下法と呼ばれた禁忌の技で、もう何十年も禁止されている。しかも自らで成せるような技ではないはずだ。なぜ急に起こった?

こんな言い方をして申し訳ないが、長年の友人が死んだ、殺されそうなぐらいでは起きないはずだ。」


「そこは先生も分からないそうです…

ただ、あくまで先生の予想ですが、脳の記憶に関する部分が重大な被害を受けていたそうなので、何か大きすぎるトラウマが呼び戻されたのではないか、と。

でも…私はリエルとは昔からずっと一緒でしたが、そんなことは聞いたこともないんです…」


「…私も先生と話をしてくる。お前はもう少しリエルの側にいといてやれ、」


そう言うとグラムは部屋を出た。

そして先生を訪ねる。


「リエルの容体についてアンに語ったことは真実ですか?」


「はい、何も嘘はついていません。」


「ならばリエルがああなった原因が分からないというのも真実ですか?」


「はい、長いこと医者をやってきましたがこんなことは初めてです。

そのことを聞くためだけにここに?」


「いえ、リエルをアルタミラ対策のために使えないかと思っただけです。」


「それはどういう?」


グラムは憤りを感じながら、キラーとの会話を思い出す。


「アルタミラで行われている”スキル”の実験があるんです。それは人為的にリエルの覚醒のようなことをする実験です。」


「それは……」


「そうです、禁忌とされた下法です。

通常、この実験を行うと行われた対象は廃人同様になってしまう。

しかしこの実験はもう1段階先を行く。

廃人同様になるのは変わりませんが、違うのはそのなり方。

脳に与える負荷を厳選し、対象の思考をクラントの破壊へと誘う…

要するに、クラントの破壊だけが目的の悪魔が誕生する!」


グラムの言葉に医者は戦慄する。


「超越者まではいかないまでも、その1歩手前程度を作るのは容易らしい。そんな奴らがポンポン出てきたら流石にクラントは負ける。だから少しでも対策を立てられるかもしれないと思ってリエルの容体を聞いたんです。

なんでもその実験の対象となるのは子供。

リエルの状況と似ているから。」


「子供…」


「ええ、なんでも幼い頃からクラントへの憎悪を持たせ続けた方が成功率が高いらしいです。」


「それって…」


「はい、おそらくあの孤児院でしょう。

それと他にも施設はありそうだし、ヴァルランダの民も。

それにもしかしたら自国の者まで使うかもしれない。」


「…」


グラムが話終えた頃、病院が揺れる。


「リエルが目覚めたか、先生は一応避難を。」


「しかし…患者を置いていくというのは…」


「大丈夫です。ひとまずリエルを抑えるだけで、異常が起きたらすぐに知らせますよ。

それじゃあ私は行ってきます。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ