101,ミラー・シャーロット(2)
アルタミラが大国になるにつれ、段々と国が回らなくなってきてしまっていた。
そこで、王はミラーに良き参謀を連れてくるように命じた。
ミラーは早速,王都で参謀を探し始めた。
方法はシンプル、ただ見るだけだ。
ミラーの”予知”の成長は止まるところを知らず、ぐんぐんと予知能力が上がっていった。
そして、もしもこうだったら、という未来も”予知”出来るのだ。これにより、ミラーは王都の民を見ることで、その人が将来参謀になった時、どんな未来になるかを”予知”していた。
こうして集めたのが3人の参謀だ。1週間以上探し回ってこれだけしか見つけられなかったのだ。
しかし、この3人とミラーの”予知”のおかげで、アルタミラはさらにさらに大国になっていった。
そして、ミラーの”予知”があまり必要ではなくなるぐらいに大国になっていたころミラーを教祖としたプロフェジア教という宗教が勝手に起こっていた。というのも、ミラーは誰かに助けを求められた時に占いみたいな感覚で助言をしていたのだが、それが原因で勝手にミラーのことを神とまで崇める人達が出てきてしまったのだ。
ちなみに、混乱を避けるため、ミラーが百発百中の予知能力者であるということは公表していない。
そのこともより宗教発足に拍車をかけたのかもしれない。
だが、当の本人は気は重かったが、別に悪くないなと考えていた。これはミラーが22歳の時である。
そしてそれから約25年、ミラーはいつも通り自分の頭に浮かんできた”予知”を予言書に書き留め、それを王城に提出する日々を送っていた。
しかしある日、ミラーはとんでもない未来を見てしまったのだ。それは、将来さらに大きくなったアルタミラが大陸を飲み込んでいく未来。それだけならまだ良かったのだが、ミラーはそのアルタミラの内情までもみてとれた。
別の大陸までも支配しようと試みている王家。そしてそのために何らかの方法で国民に強制労働を強いており、貧しい生活を送っている多くの人々。そしてそれを優雅に見ながら紅茶を飲んでいる貴族や王家。
一昔前の戦争が激しかった時代よりも酷く、ミラーは吐き気がするほどだった。
そして何とかそれを阻止するため、もしもの世界を”予知”したりしてその原因を探る。そしてその答えは、昔自分が王城に招き入れたあの参謀達だった。
もちろん、ミラーが”予知0した世界は約160年ぐらい先のことなので、もうその参謀は死んでいるのだが、その参謀達が後継育成をしっかりとしていたのだ。そしてその育成プログラムで育った新たな王や参謀は非常に賢く、全て合理的に考えていた。よって国民のことなど何一つ考えないようなやつが生まれてしまったのだ。
ミラーは原因は自分にあると責任を感じた。
しかし、自分ではどうすることも出来なかった。
というのも、あらゆるパターンで”予知”してみたが、同じ結果、もしくは類似した結果だったり、さらに酷い結果の未来もあった。つまりそれは、今ミラーに出来ることは何もないことを示していた。
そして自分の不甲斐なさを感じつつも、未来のことは未来の人間に託すしかないと思ったミラーは、その最悪の未来を防ぐために、未来の人間を使ってあらゆるパターンを”予知”し始めた。
それと同時に、王城への予言書の提出もやめた。
というのも、”スキル”の全盛期は一般的に30代と言われており、40代後半のミラーが予言をやめたところで何一つ不思議はないのだ。
そして数年”予知”を続け、答えを得たミラーは息子を呼び出していた。




