表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第5章 怪盗との対決
90/105

第90話 道具屋クライゼの災難

 作戦会議が終わり、オレとエアリスはクライゼの店へ向かった。

 店に入って驚いた。元々、かなり細身の体のクライゼが。さらにげっそりとやせ細っていたからだ。


「い、いらっしゃいませ……ナリユキさん」


 声もかなり弱々しい。目も虚ろで、焦点が定まっていない。


「あ、あの……新しい武器を調達しに来たんだけど……」


 オレはそう言いかけて、ハッとした。レゼルブの発言を思い出したからだ。


「す、すみません。ナリユキさん。実は、陛下に将棋というゲームの盤と駒を大量に製造しまして、納品できたのはいいのですが、その時に高熱を出してしまって……まだ完全に熱が引いていないんです……」

「やっぱり……!」


 いきなり、そんな無茶な発注を出されて、納品できただけでも奇跡の所業だ。そりゃ、体を壊すよなあ……。


「じゃあ、オレ専用の武器は……」

「すみません。何も作れませんでした。それどころか、楽しみにしていたベルファさんの人形作りも全く手つかずの状態で……」


 いや、そこは人形より武器の方を優先してくれよ。

 そうツッコみたかったが、今回の件はそもそも、オレが国王に将棋を教えてしまったことが原因なので、こらえることにした。国王からそれなりの報酬は受け取っただろうけど、今の弱々しい姿のクライゼには、ちょっと同情する。


「残念だなあ。ボクの新しい人形を作ってもらいたかったのに……カッコいいファイティングポーズも考えて来たのに……」


 エアリス、お前の発言はダメだ。いい加減にしろ。



 結局、オレとエアリスは手ぶらのまま。アジトへ戻って来た。これから、どう動くべきか……。

 考えようと思ったが、やめることにした。あれこれ頭を使うのは、オレの性に合わない。こういう時は……。


「エアリス。この後、剣の修行に付き合ってくれないか?」

「えっ!? ナリユキが自分から修行したいって言ったの、初めてだよ!?」


 オレの提案に、エアリスはぱあっと顔を輝かせた。うん、かわいらしい。


「今日こそは、一撃入れてやるからな!」

「フッ、ボクに勝とうなんて十年早いね!」


 オレの挑発に、ニヤリと笑って答えるエアリス。修行を始めてから、オレはまだエアリスに一度も勝ったことが無い。しかし、初日は全て剣の攻撃をかわされていたのだが、少しずつエアリスが剣を使って受け止める回数が増えて来た。オレも、ちょっとは進歩しているらしい。

 こうして、夜になるまでオレとエアリスによる剣の修行は続いた。まあ、今日の結果も全敗で、夜はエアリスのマッサージに付き合わされちゃったけどね……。



 Xデーとなる翌日、オレは夕方まで寝た。

 そして、18時。

 オレたち4人は、レゼルブ邸に向かった。いよいよ、怪盗ダナシャスとの対決を迎える。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ