表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第4章 最初の使者
79/105

第79話 謝るナリユキ

 オレが目を覚ますと、目の前に真っ白な視界が広がっていた。

 だけど、さっきの白とは違う……白塗りの天井だった。

 そして、自分がベッドの上で布団をかぶって寝かされていることに気づいた。どうやら、部屋の中にいるらしい。窓の外から、小鳥のさえずりが聞こえる。

 オレは、その場でガバッと身を起こした。ゼグロンは? 仲間たちは、どうなった?


「あっ! ナリユキ君、やっと目を覚ましたのね!」


 オレンジ色の長い髪を揺らして、女の子が近づいて来た。おそらく、オレの体を治癒してくれた……ちょっとアホなプリーストだ。


「ゼ、ゼグロンは、皆はどうなった!?」


 オレは慌てて、ユリカに尋ねた。しかし、彼女は口をへの字に曲げて、怒りながら答えた。


「まったく! あんな化け物をたった1人で追いかけるなんて、ムチャをして! 私が叫んで止めたのに、無視しちゃって! ホントに心配したんだから! ぷんぷん!」


 一気にまくしたてるようにして、言い切った。オレが急いでゼグロンを追った時に、必死に止めようと叫んでいたのか……無我夢中で、全然気づかなかった……。


「ご、ごめん。つい…………で、その後はどうなった?」

「私がベルファの杖に見せてもらって穴から外に出ようとしたら、あの悪魔がグリフォンの背中に乗って西の方角へ逃げて行ったのね。その後、私とベルファの2人で必死にナリユキ君を捜したんだから!」

「そ、そうだったのか……」


 オレは言葉に詰まった。ユリカは、さらに喋る。


「で、爆心地から少し離れた所に、ナリユキ君が吹き飛ばされて気を失っているのを見つけたの。大慌てでヒーリングをかけたのね! ベルファはその間に、城の衛兵さんを呼んで、ナリユキ君をこの病室に運ぶよう手配してくれて。だけど、ナリユキ君がまる1日、目が覚めなくて、私、心配だから離れられなかったの!」


 ユリカの話は、まだ続いた。ちなみに、街へ攻めて来た呪いの騎士団は、衛兵たちの必死の抵抗により撃退されたらしい。

 話を聞いたオレは、返す言葉も無かった。2人がオレのために必死で動いてくれる姿が……想像できた。メチャメチャ迷惑をかけてしまった……。


「ごめん。オレのせいで……」


 オレは、頭を抱え込んだ。同時に、女神フェリオに言われたことを思い出した。ノリの軽い女神だけど、あの言葉は言わなければ……。

 その時、部屋のドアがノックされて、赤髪ショートカットのウィザードが中に入って来た。ベルファだ。でも、エアリスは一緒にいない。


「あれっ? ベルファ。エアリスはどうしたの?」


 ユリカが、オレより早くベルファに尋ねた。ベルファは冷たい声で答える。


「あのチャンスで、あんな大ポカをやらかすバカは、あたしがボロカスにこき下ろしてやったわよ。今頃、どこかで落ち込んでるでしょ。いい薬だわ」


 よ、容赦ねえな……オレは、冷や汗をかいた。


「あ、あのな、ベルファにユリカ」


 オレは、少し怯えながらも2人に話しかけた。2人は同時にオレの方を向いた。


「起きていたのね、ナリユキ。まあ、あの程度で死ぬタマとは思ってないけど」

「ウ、ウソ! ベルファ、あなただって……」


 淡々と話すベルファに、ユリカがつっかかる。いったい、何の話だ?


「それで何なの? ナリユキ?」


 ベルファが何か言おうとするユリカを右手で制して、オレをじろっと睨む。

 やっぱり、この女は怖い。でも、言わなければ!


「いや、その……2人にはちゃんとお礼を言いたくて……オレのために真剣に動いてくれて、ありがとう。本当に感謝してるよ」


 2人の顔を交互に見ながら、お礼を言った。怒るかな……。


「べ、別に! あんたは以前、拉致されたあたしを親身になって捜索してくれたでしょ! か、借りを返しただけなんだから!」


 少し顔を赤くしながら、ベルファは吠えた。よかった、怒ってはいないようだ。


「本当に感謝してるの? もうムチャはしないって、約束できる?」


 ユリカは、オレのすぐ目の前に顔を寄せて来て、両眼を真ん中に寄せた。か、顔が近い近い近い!


「や、約束する! だから許して!」

「よーし、いい子なのね♪ エラいエラい♪」


 ユリカはニッコリ微笑んで、オレの頭をナデナデした。

 何だ? フェリオ教って、頭をナデナデする風習があるのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ