第59話 ベルファの消失
「おおーい! ベルファ! どこに行ったんだ!?」
オレは大慌てで今歩いて来た道を叫びながら走り出した。
だが、どれだけ周りを見回しても、どれだけ叫んでもベルファが見つからない。オレはどんどん焦っていった。
「何てことだ……! オレがつまらないケンカを吹っ掛けたばっかりに……ごめん、ベルファ……本当にすまない……!」
結局、ベルファを見つけられなかったオレは、ガックリと両膝をついた。こうなったのも、全部オレの責任だ。どうしよう…………。
「まずは、ユリカとエアリスに報告しないといけない……」
オレ1人で捜すよりは、3人で捜した方がまだいい。オレは立ち上がると、急いで宿屋へ向かって走り出した。
「ええ~っ!? ベルファがさらわれたの!?」
オレからいきさつを聞いたユリカとエアリスは、揃って絶叫した。
混乱するオレとユリカだったが、その後のエアリスは、冷静にまず宿屋の主人へ事情を伝えた。そして、主人のアドバイスに従って、3人で街の中央にある憲兵の駐屯所へ捜索願を出しに行った。警察署みたいなところだ。
その後は、3人でベルファを捜し回ったのだが、全く見つからないし、彼女が被っていた三角帽子や持っていた杖といった手がかりになりそうな物すら見つからなかった。
「今日はもうダメだ。あっという間に日が暮れちまった…………」
オレたちはうなだれたまま、トボトボと宿屋へ戻った。明日ももちろん捜さなければならないが、いったいどう捜せばいいのかが分からない。こうしている間にも、ベルファの身が危ないかもしれない。もしかしたら、既に…………。
「いかんいかん! 落ち着けよ、オレ!」
部屋に戻ったオレは、自分の頭を拳でガンガンと叩いた。何かいい方法は無いものか…………ん? 待てよ?
「たぶん、これしか方法は無い……あいつに頼むしか……」
オレは勢いよく、部屋のドアを開けた。