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異世界忍者はナリユキまかせ  作者: 宗谷ソヤナー
第3章 平穏な日々
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第54話 ベルファにお願い

「ナリユキたち、遅いわね…………」


 あたしは、道具屋の前でしゃがんだままナリユキが帰って来るのを待っていた…………レディーを待たせるなんて、失礼な男ね!


「す、すまなかったベルファ! 長引いてしまって」


 あたしのイライラが頂点に達しようという時に、ようやくナリユキがユリカとエアリスを連れて店から出て来た。待たせずぎよ!


「何やってたのよ! 急いで帰るわよ!?」

 

 あたしは、そう言うと勢いよく立ち上がった。だけど、ナリユキはその場でいきなり頭を下げてきた。


「わ、悪いんだけどベルファ……ちょっと店の中へ入ってくれないか……? 武器を手に入れるために、一つ協力してほしい事があって……」

「き、協力? あたしが? 何の?」


 訳が全くわからない。だけど、ナリユキの隣にいるユリカとエアリスの顔がニヤついている……すっごくイヤな予感がした。


「さあ、ボクたちと一緒に中へ入ろう!」

「すぐに済むのね~♪ ちょっとだけなのね~☆」


 エアリスとユリカがそう言いながら、あたしの両腕をそれぞれガッシリとつかむ。そして、ナリユキがあたしの背後に回り込んで背中を押し始めた。


「ちょ、ちょっと! やめてよ! 何するつもりなの!?」


 あたしは抵抗しようとしたけど、3人がかりではどうしようもない。無理やり店の中へ押し込まれてしまった。

 そして、中にはキモい店主がイヤらしい笑みを浮かべて立っていた。

 

「おお! ベルファさんはやっぱり美しい! そのキツい目線がたまらない! これは良い作品が作れそうだ!」


 いきなり絶賛する店主。だけど、こんなキモい男に褒められてもちっとも嬉しくない! 不快感が増すだけだわ!


「作品って何よ!? 何か変な事をするつもりじゃないでしょうね!?」

「まあまあ、落ち着いてベルファちゃん」


 怒るあたしをなだめるユリカ。どういうつもり?


「今からベルファちゃんの人形を作るの! こんな感じにネ☆」


 ユリカはそう言って、懐から人形を取り出した……足はついてないけど、ユリカ本人にそっくりだった……色までついてる……あたしは唖然とした。


「ほら! ボクも作ってもらったんだよ! カッコいいでしょ!?」


 続いてエアリスも人形を出してくる……こっちもエアリスにそっくりの出来ばえだった……!


「ベルファさんは、杖を持ってポーズを取ってもらうだけで良いんです。その姿を私が前後左右の4方向からラフスケッチをしていくので、その間動かないようにしてくれればすぐに描けますよ、デュフフフ」

「冗談じゃないわ! ふざっけんな!」


 あたしは、店主の発言を聞いて激怒した。当然よ!


「ど、どうか今回だけは頼むベルファ! 強力な武器をタダで手に入れるためなんだ! も、もが!? もがががが!?」


 ナリユキが慌ててあたしの前で正座して頭を下げた。だけど、あたしはそんなナリユキの頭を足で踏みつけて地面にキスさせてやった。そのまま窒息して死ねばいいのよ!


「まあまあ、ベルファちゃん。後でドーナツをたくさんおごってあげるから。大好物でしょ、ドーナツ? 特にチョコレートがついてるの」

「ボクは、ワインをプレゼントするよ。赤い方が好きだったよね?」


 ユリカとエアリスが交換条件を持ちかけてくる。こいつら、よくあたしの好きな物を把握してるわね……まあ、そこまで言うのなら……。


「わかったわよ! 今回だけは特別! 今回だけなんだからね!? あと、ナリユキ! あんたはあたしの杖を綺麗に磨くのよ!」

「ば、ばふぁびばびば…………」


 どうやら、わかりましたと言ったらしい。まあ、これで勘弁してあげるわ。

 だけど、この店主のスケッチ作業は結局、夜までかかってしまった。

 正直な話、同じポーズを取り続けたあたしはクタクタになった。


「ありがとうございます! これで人形が作れます! 完成したら、真っ先にベルファさんにお見せしますよ!」


 店主はお礼を言ってたけど、あたしはそんな物、絶対に見たくないわ!


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